緑の灯火 151  落ちこぼれ

 2024 06 15 (Sat)
 

落ちこぼれ 茨木のり子  『落ちこぼれ』 理論社 \1,400
 
48 落ちこぼれ
 
 落ちこぼれ
  和菓子のの名につけたいようなやさしさ
 
 落ちこぼれ
  いまは自嘲(じちょう)やできそこないの謂(いい)
 落ちこぼれないための
  ばかばかしくも切ない修行
 
 落ちこぼれこそ
  魅力(みりょく)も風合いも薫のに
 落ちこぼれの身
  いっぱい抱擁できるのが豊かな大地
 
 それならお前が落ちこぼれろ
  はい、女としてはとっくに落ちこぼれ
 落ちこぼれずに旨(うま)げに成って
  むざむざ食われてなるものか
 
 落ちこぼれ
  結果でなく
 落ちこぼれ
  華華(はなばな)しい意思であれ
 
 
日銀、国債購入減額、利下げ時期、肩透かし 
 
 日銀は昨日の経済政策会議で、国債購入減額、利下げ時期を明言せず、市場は「肩透かし」をくらう。
 
① 日銀は銀行や保険会社がもつ国債を月間6兆円購入 23末時点で保有残高は600兆円に迫り発行残高の5割ちかくに上る。
② 買い入れを減らせば、満期を迎えた償還ペースが買い入れを上回る。→ 保有全高が縮小。→ 量的引き締め。
 → 国債の価格が下落し → 金利は上昇する。がしかし、
④ 減額を予想していた市場は、減額が予告にとどまり、肩透かし。円は158円に上昇。1円下落。金利は下落 → 銀行株下落。
⑤ なお、次回の会合での、利上げにはついては明言せず。
 
 日銀が国債購入額を減額するだけで、どうして日銀の国債保有残高は減少するのか。理由は、②。
 日銀が国債発行残高の5割り近くと保有するのは、正常ではない。減額は財政健全化政策上望ましいが、実際の効果を発揮するのは 2年後らしい。金融引き締めになり、急激には減らせないらしい。
 
 この会合で、利上げを期待していたが利上げはもとよりその時期にも言及せず、肩透かし。
 そのせいか、逆に円安になり、金利も下落した。銀行株(三菱UFJ、浜銀、千葉銀、静銀)が下落。
 まあ、嘆くことなかれ、国政減額、利上げは大きな流れ。日銀は秋から来年にかけて、金融正常化を目指す。
 
 ここ数か月、日銀の国債購入額を減額すればなぜ、国債保有残高の減少につながるのかがわからなくて、眠れない日々を送っていた。
 昨日の、「肩透かし」でやっとその意味が分かった。今夜からは、安らかに眠れる。
 
 話題は脈絡もなく跳ぶが、2024年問題などで長期低迷していた「ヤマト(運輸)」と「SGHD(佐川急便)」が、株価反転のかすかな気配がある。
 最近、電子部品大手の「ローム」や「ムラタ」が上昇を始めた。一方、京都の雄「京セラ」はいまだに眠りから覚めず。
 これまた話題がどぶが、「大阪チタニウム」は上昇サイクルに入った。
 いっぽう、これまた長期低迷の「Mスリー」が、週刊東洋経済雑の推奨銘柄に入っている。
 これらの断片的ニュースは、長期低迷、右肩下がりの銘柄群がお目覚めの季節かもしれない。
 単なる循環物色なのか、構造的変革が功を奏したのかはわからない。日経平均が長期日柄調整するなかで、個別の株価が上がるのはうれしい。
 
 
 
Man Cave, She Shed: 男の城、女の城  『日本からは見えないアメリカの真実』 旦英夫 PHP \1,300 
 
 Man Cave: a room or space (as in a basement) designed according to the taste of the man of the house to be used as his personal area for hobbies nad leisure activities.
 
 マン・ケーブ:男が、趣味やレジャーの活動のために個人的領域として使うために、自分の好みに合わせて設計する部屋または「地下室に あるような」スペース。
 
 Across the country, women are transforming their backyard potting sheds and structures into "She Shed."
 
 全米では、女性たちは裏庭の陶芸用の納屋や小屋を「女の城」に作り変えている。
 
 夫は、地下室やガレージ、または狭い書斎をもらい、ここで自分の趣味を貫き、妻も口出しはしません。
 Cave は原始人が住んでいた洞窟。
 
 女性の側もShe Shed を建てることがはやっているとか。 ここでも She は「形容詞」。She は小屋。
 
◇◇◇ 
 
 洋の東西をとわず、人間は究極の孤独をもとめ、そして最後に永遠の孤独を得るのだなあ。
 
 カフカは、高松の小さなホテルの部屋で孤独を感じ、これが自由なのかと自問する。
 茨木のりこは、落ちこぼれは結果でなく華華(はなばな)しい意思であれ、と叫ぶ。