ランダム・ウォーク 225 
 市場サイクルを見極める 04 ハワード・マークス 「投資家心理の振り子」 
 Masrweing The Market Cycle  貫井(きぬい)佳子 訳
 Getting the Odds on your Side

up 2024 05 08 (wed)
 
 
121 投資家は強欲と恐怖の心理の間で揺れ動く
 
 陶酔状態の投資家は、現在の情勢や将来起こりうる動向に胸を高鳴らせ、企業利益に関する自らのこだわりを強め、また見通しを上澄みする。 一方、賃貸状態の投資家の場合、強欲になるほど前向きな気持ちになる可能性は低い。陶酔感と恐怖、賃貸間と強欲は、それぞれ相容れない関係にある。
 
127 振り子がその軌道の中心点にある時間な極めて短い。むしろ、振り子は軌道の一端からもういったんに向かって常に動いている。ます、 心理の一方的極限から反転し反対の極限に向かって動きつづける。
 優れた投資家は行き過ぎた心理状態に同調せず、したがってこうした振り子の動きには従わない。
 
◇◇◇ 独白 
ひとはパターンやルールを探し求める。
 
 ひとはパターンやルールを探し求める。そして、人間の頭は一つひとつの出来事にひとつの明確な原因を特定するようにできている。
 進化の過程で、そういうことができる人が生き延びてきた。
 そこへ、投資家の感情の動きを「振り子」や「サイクル」の理論で説明されると、それはそうだと、思ってしまう。
 だが、振り子のたとえは、非常におおきな柱時計の動きを連想してしまう。大きな時計の振り子が、ゆったりと左右に揺れているのに、 とつぜん小さい揺れになることはない。
 陶酔や恐怖などの投資家心理の動きは、バブルになる過程やバブル崩壊の過程を説明するのに有効だが、せいぜい10年に一回くらい しが発生しない。
 最近の株式市場で見られる多くの株価の動きには、次のようなパターンがある。
 上昇銘柄は、右肩上がりで上昇するが、その勢いは一様ではなく、一定期間上昇し、そのあと日柄調整でしばらく横這いし、そしてふたたび 上がり始める。
 いったん、下がり始めると、緩やかな下落が継続する。「もうはまだなり」。もういいかと思って買うと、数か月から数年にわたって下がり続ける。
 数年横ばいだった銘柄が、ある日突然、「彗星のごとく」上昇する。そして、ふたたび、「彗星のごとく」下降する。
 これらの銘柄が、混在する。
 波動の異なるサイクル、振動が、複数市場をにぎわす。
 たぶん、ある特定サイクルごとに、動作のルールがあるのだろうが、ランダムとしか思えない動きも多い。

 
 
 日経平均は、三月には四万円を越していたが、その後三万万七千円に落ち、今日は三万八千五百円円半ばまで戻す。 今週はこれから決算発表後半に入り、決算がよければ三万九千円まで戻すかもしれない。
 いっぽう、市場では夏場(6月―9月)では、米国での根強いインフレに伴う高金利の長期化で、日米株価の割高感 が強まり、三万五千円までの調整リスクがある。いっぽう、年末には堅調な企業業績が支えで、四万円を回復する、 と予想する声が多い。
 ハワード・マークスさんの言葉に置き換えると、振り子は、三月には四万円で右振れ、四月には左に揺れ(三万万七千円)、 五月には右に揺れ(三万万八千五百円)、夏場には左に揺れ(三万五千円)、年末には右に揺れる(四万円)。
 
 もし夏場に下がり円末に上昇する、という「仮説」にしたがうなら、夏場に売り下がりキャッシュ比率を高め、秋から 買い上げればいい。毎度おなじような株価の動きの「仮説」である。ハワードさんの振り子理論を信じて、今年も やってみるか。