読書日記 173 
「投資で一番大切な20の教え」12 ハワード・マークス 逆張りをする。 
 The Most Important thing  貫井(きぬい)佳子 訳
 逆張りをする 
 Uncommon Sense for the Thoughtful Investor

up 2024 0308 (Sun)
 
周りが意気消沈しているときに買い、周りが高揚した気分で買おうというしているときに、 売るには最大の勇気が必要だが、そうすることで最大の利益が得られる。ジョン・テンプルトン卿 
 
162 周りと同じことをやれば、そうする人々や自分自身の行動が一因となって増幅する変動の波にさらされることになる。 その大波が断崖に押し寄せているときに、群衆と行動を共にするのは間違いなく危険だ。しかし、それを 避けるには
 ① 並外れたスキル 
 ② 洞察力
 ③ 規律 
が必要である。 
 
・ 相場の極端な状態は「変曲点」となる。変曲点は強気相場や弱気相場がこれ以上は行けないところに 達すると生じる。ずっと買わずにいた最後の一人が買ったとき、相場はピークに達する。その時点で、 すべての人が買い手となって強気の群衆に仲間入りしているために、それ以上、強気がこうじることはなく、 相場も頭打ちになる。
・ 次の日に、一人が買い手から売り手に転じれば、相場は下げ始める。
・ たから「ほとんどの人」が信じることによって到達した相場のピークや谷底では、ほとんどにひとが 間違っていることになる。 
・ したがって、投資を成功させるカギは反対の動きをする、つまり、群衆から離れることにある。 
 
 相場や投資家の姿勢や行動が、振り子の「幸せな中心点」に位置している時間は、非常に短い。
 
164 「安く買って、高く売る」は由緒ある格言だが、市場サイクルに翻弄された投資家は逆の行動をとる。
 正しい反応とは、「逆張り」で動くことだ。
 ただし、逆張りが簡単には実行できない。価格が本質的価値から著しく乖離しているものを察知する 能力が必要だ。また、常識にあがらい、「市場はつねに効率的で正しい」という神話」に逆らえるだけの 強固な意志、経験がなければそのような断固たる行動はとれない。
 
 自分の正しさが証明されるまで、ピークや谷底をやり過ごせる時間的な余裕がなければ、市場の犠牲に なってしまう。
 
 
164 逆張りの大まかな概念を受け入れることと、それを実践することは別だ。振り子がどこまで触れるのか、動きがいつ反転するのか、 反転後にどれだけ振れるかは絶対にわからない。
 ただ、振り子が極限に達すると、相場が中心点に向かって、揺れ戻ることは確実だ。振り子が永遠に別の方向に動きつづける、あるいは 極限に達したあと、そこにとどまりつづけると信じている投資家は、失望せずにはいられない。
 
 とはいえ、地上に影響を与える要因は数多く、変動しやすいため、逆張りもふくめて、全幅の信頼を寄せられる概念やアプローチは存在しない。
 
◆ 逆張りはどんな時でも利益を上げられるアプローチではない。たいていの場合、逆張りをするのにふさわしいほど行き過ぎている状態は 市場には存在しない。 
◆ 行き過ぎた状態が発生していたとしても、「割高である」ことは「明日、値が下がる」ことはまったく別である。 
◆ 相場が割高あるいは割安でも、数年にわたってその状態を維持したり、さらにその度合いを強めたりする可能性がある。 
◆ トレンドに逆らうと、停滞打撃を受ける可能性がある。 
◆ 時として、群衆が間違っているという結論に達したようになることがある。つまり、逆張りそのものが流行となり、群衆の行動と誤解される 可能性がある。 
◆ 群衆と正反対の行動をとるだけでは不十分である。コンセンサスとは異なる見解を持つように意識することは利益を生み出す可能性を秘めて いるが、逆張りをするときは、しかるべき根拠にもとづくもので無ければならない。なぜ群衆が間違っているかを理解したうえで行わなければ ならない。 
 
◇◇◇ 
 株価の上昇は、買いは外国人で、日本人は逆張りが好きで株価が上昇すれば売ってしまう と言われている。
 日本人が売るのは、長い間(失われた30年くらい)、株価が下落またはボックス相場であったために、 せっかく上がってもすぐに下がってしまうため、と言われている。
 
 だがボックス相場が上放たれ、上昇相場に入ると、順張りの出番である。
 と、いっても、長年しみ込んだ投資戦法を変更するのは難しい。高所恐怖症の人たちが、 上昇相場で買いあがるには勇気が要る。
 
 つづく