読書日記 161 

「風に訊け」開高健 鮮烈な一言半句 集英社文庫 \700


  up 2024 01 06 (Sat)
 
 本の読み方は、年代とともに変ってくる。「この風に訊け」は週刊 Play Boyの人生相談(読者の質問と 筆者の回答)を一冊にまとめたもの。
 
 Qは読者からの質問の概略、Aは開高さんの意見の一部。Cはわたしののコメント。
 
96 Q: お酒の味い方。
A: 酒を一滴、舌にのせ、歯の裏、舌の全体でころころ回し、歯ぐきにまわし、喉におくりこむ。 唇で飲み、舌で飲み、歯で飲み、喉で飲む。 
 西洋人はワインを噛むように飲む。そういう飲み方を知っている―  He knows how to chew the wine. これは誉め言葉なんだ。
C: He knows how to chew the wine. か。chew = 噛む、噛みこなす、咀嚼(そしゃく)する。いい酒を 味わいながら飲むのも。 
 
107 Q: 「泣くが嫌さに笑って候」の出展は?
A: 「フィロガの結婚」を書いたポーマルシェかな、バーナード・ショウだったかな? 
C: 開高隆がしばしば引用することば。 
 
 泣くが嫌さに 笑って候
 濁った水の 流れつつ澄む
 言う者は知らず 知る者は言わず
 一瞬がすべて すべてが一瞬
 
 「涙するのが嫌なばかりに、なんでも急いで笑い飛ばすんで」
 (「セビーリャの理髪師」 鈴木康司訳)
 
138 Q: 美味の探求の極意は?
A: 豊穣豊満(ほうじょう・ほうまん)のあらゆるものを通過したのちの「シンプルでディープ」。 複雑さを通過しないで到達したシンプル&ディープは単なる退屈なだけ。 
C: 食通への道、お金、体力、情熱。とれをとっても私には無理。無駄な挑戦はしない。 
 
189 Q: 開高さんは芥川賞などの選考委員をされていますが、選ぶ基準はありますか。
A: 芥川賞は新人の登竜門であり、新人に問う資格は作品に「鮮烈な一言半句」があればいい。  
C: このブログに「わたしのお気に入りの本たち」を乗せているが、開高さんのことばでいえば 「鮮烈な一言半句」、または本の値段に値する「ことば」・「知識」・「知恵」があればいい。 
 
226 Q: 感嘆詞連発ギャルばかり相手にして成果を誇っても、心が乾くだけです。 
A: そのとおり。 
 念のためにチェホフの言葉を差し上げておこう。
 「女のいない男はバカになる。男のいない女は枯れる
C: 女性はいい男と付き合わなければいい女にはなれない。男もおなじである。 
 
250 Q: 谷崎純一郎の『痴人の愛』や『春琴抄』はサドマゾ文学ではないでしょうか?
A: 『春琴抄』がサドマゾ文学で歩かないかということはどうでもよろしい。そこから受ける感動を定義してはいけない。 言葉にすると、漏れていくものが多くなる。そういうのが名作の読み心地だ。言葉に押しはめてしまってはいけない。読んで感動する。 それでいいんだ。 
C: 言葉にするとそこから漏れるものが多くなる。読んで感動する。それでいいんだ。 
 ああ、わたしはおうおうにして世間で評価されるパターンに分類して安心していた。そんなことはどうでもいいんだ。読んで感動する それだけでいいんだ。
 
 
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 最近読んだ、あるいは、昔読んだお気に入りの幾冊かの本たち。
【あ】 「あらし」シェークスピア、「阿頼耶識」、「アルゴリズム辞典(C言語編)」 「アルゴリズムとデータ構造(JAVA編)」、
【い】「1Q84」村上春樹、「一九八四」ジョージ・オーウェル、「茨木のり子詩集」茨木のり子、 「意識は傍観者である」D・イーグルマン、
【う】「海辺のカフカ」 村上春樹、「宇宙からの帰還」 立花隆、「『歌』の精神史」 山折哲雄、
【え】「HTMLタグ辞典」、
【お】「老いる意味 うつ、勇気、夢」  森村誠一、「オーパ!オーパ!」開高隆、
【か】「Google Keepの基本」、神谷美恵子、「神谷美恵子日記」神谷美恵子、「輝ける闇」開高健、「会社四季報」、「会社四季報プロが選ぶ500銘柄、」 「考えない練習」 小池龍之介 X 池谷裕二、「風に訊け」開高健
【き】「危機からの脱出」塩谷七生、「嫌われる勇気」アドラー、「吉里吉里人」井上ひさし、 「今日から使える統計解析」大村平、
【く】「グレート・ギャツビー」F・S・フィッツジェラルド、「クリスマス・キャロル」チャールズ・ディケンズ、「クリパル・ヨガ」スワミ・クリパル、
【け】「賢者の贈り物」O・ヘンリー、[現役87歳 トレーダー]  藤本茂、「遣灯使」多和田葉子、
【こ】「心の旅」 「言葉を育てる」米原万理、「幸福論」アラン、「こころの旅」神谷恵美子、
【さ】「作文教室」井上しさし、
【し】 「死という最後の未来」石原慎太郎、曽野綾子「小学生がたった一日で19かける19までかんぺきに暗算ができる本」 小杉拓也、 「自分でできるスポーツマッサージ入門」、 「小説読本」丸谷才一、「小説作法」 スティヴン・キング、 「自分でできる筋膜リリース パーフェクトガイド」、
【す】「スマホ入門」、「スタンフォードの自分を変える教室」「スタンフォードの心理学講義」 「スタンフォードのストレスを力に変える教科書」 ケリー・マクゴニガル、  「スヌーピー」C.シュルツ、谷川俊太郎、 [常識]の研究 山本七平、 「創造的思考について」外山滋比古、
【せ】「青春の詩」 サミュエル・ウルマン、「世界中が夕焼け 穂村弘の短歌の秘密」穂村弘、山田航共著、「世界の終わりとワンダーランド」村上春樹、「禅マインド ビギナーズ・マインド」鈴木俊隆(としたか)、
【そ】「その日をつかめ」ソール・ベロー、「相場の論点」広木隆、
【た】「単純な脳」池谷裕二、「歎異抄」蓮如、五木寛之、「太極拳24」「太極拳48」、
【ち】
【つ】「月と6「ペンス」 モーム、「詰将棋集」高橋道夫9段、羽生善治9段
【て】「適応的市場仮説」アンドリュー・W/ロー、 
【と】「ドーナツを穴だけ残して食べる」、「遠野物語」柳田国男、 「遠い山なみの光」カズオ・イシグロ、「都市間通信」O・ヘンリー、 「独習JAVA」、
【な】「脳と心の仕組み」池谷裕二、「七つの習慣」S・コヴィー 「何がめでたい、90歳」佐藤愛子、「夏の夢」開高健、「中村天風」、
【に】「人間にとって成熟とはなにか」曽野綾子、【人間の未来 vs AIの未来】羽生善治・中山信弥、
【ね】「ねじまき鳥クロニエル」村上春樹、
【の】「ノルウェイの森」村上春樹、「脳と心のしくみ」 池谷裕二、「動物農場」ジョージ・オーウェル、
【は】「走ることについて語るときに僕の語ること」村上春樹、「はじめての八十歳」山藤章二、「ハムレット」シェークスピア、 「八十八歳を生きる― ヨーガとともに」佐保田鶴吉、「白鯨」H・メルビル、「腹だけ痩せる技術」植村美穂、
【ひ】「ひざ痛がよくなる一分間ほぐし」古賀秀之、「日の名残り」カズオ・イシグロ、「137億年の物語」クリストファー・ロイド
【ふ】「文体を夢見る」丸谷才一、「不実な美女か貞淑な醜女(ぶす)か」米原万理、「ブッダの瞑想法」地橋秀雄。  「藤井聡太論」谷川浩二、
【ほ】「骨だけの文章」倉橋由美子、
【ま】 「Murphy's Law マーフィの法則」、「真夜中の太陽は輝き続ける」米原万里、「末那識」、「街とその不確かな壁」村上春樹、 「真夏の夜の夢」シェークスピア、「まいにちが祭り」小林ハル、 「まいにち中国語」、「まいにちフランス語」、「まんがで分かる中村天風の教え」鈴木彩、
【み】
【も】「求めない」加島祥造、
【や】「藪の中」 芥川龍之介、
【よ】「予想通り不合理―行動経済学」ダン・アリエリー、「ヨガ入門 各種」、
【ら】 
【わ】 「私の文章修行」 週刊朝日編、「私だけの宗教」玄侑宗久、「Windows10 改定」「Windows11 入門」