ランダム・ウォーク 208 ギガキャスト方式。
2023 07 5 (Sat)
もくじ
・ ギガキャスト生産方式とは
・ 鉄からアルミへ
・ カイゼンと新しい方式
・ 日本製鉄(5401)から「UACJ(5741)」へ
【メガキャスト生産方式とは】
テスラーはEV市場で、圧倒的強さを発揮している。
車一台当たりの利益は、トヨタの約5倍である。
その秘密は、生産方式の大変革にある。 2023 07 05 日経朝刊。
ギガキャストとは、アルミ鋳造設備で一体成型した巨大な車体部品を製造し、 部品点数と生産工程を大幅に削減する。
トヨタは次世代EVで車体を前部、中央、後部の三つに分ける。
後部の試作品では、従来、86の部品を33行程かけて製造していたところを 1部品・1工程に集約する。前部では、91部品・51工程を、1部品・1工程に 減らせる見込みという。2026年から採用する。(トヨタ 中嶋副社長)
【鉄からアルミの時代へ】
わたしは車の重量を削減するために、航空機で使われている炭素繊維が有望と 考え、東レに、ひそかに期待していた。この期待は裏切られる。
車の素材の中心が、鉄からアルミに大きく変化する。
現在の車生産でのアルミの使用率は一割程度で大部分は鉄だが、テスラーでは 全体の質量の半分近くがアルミである。
【カイゼンから、新しい方式へ】
牛をいくら品種改良しても、トラクターにはかなわない。馬を いくら訓練してもしても、戦車にはかなわない。
トヨタ伝統の「カイゼン」は小さい技術改善の積み重ねである。全体の 方式設計に及ぶことはない。
メガキャスト生産方式は、工程数、部品数が飛躍的に少なくなる。
テスラーはEVの「ギガキャスト生産方式」で、車一台あたり、トヨタの5倍の利益を上げている。
産業革命は、新しい方式の、伝統技術に対する勝利である。
一方、トヨタは、ガソリンエンジンから、ハイブリッド車、EVと全方位展開を している。
テスラーは、すでにギガキャスト生産方式を採用している。トヨタも遅ればせながら、 今から3年後の、2026年から新しい方式を採用する。その間に彼らはその先を行く。
【日本製鉄(5401)からUACJ(5741)へ】
わたしは車の製造についても、アルミ鋳造については何も知らない。
2024年からではなく、2026 年から採用するというからには、技術面、費用面、 サプライチェーン面、もしかしたら安全面での多くの課題があるにちがいない。
そうか、炭素繊維ではなくて、アルミの時代になるのだ。