鈴木俊隆 「禅マインド ビギナーズ・マインド」  04 姿勢 01 
 

 「Zen Mind, Beginner's Mind」  Shunryu Suzuki   SAMGHA  up 2018 05 06 (Sun)
 
 
 Posture
 
 These forms are not the means of obtaining the right state of mind. To take this posture is itself to have the right state of mind. There is no need to obtain some special mind.
 
 姿勢
 
 この姿勢は、正しい心の状態を得るための手段ではありません。このような姿勢をとること、そのものが正しい心の状態 なのです。なにか特別の心の状態を得る必要はありません。
   
 posture = 姿勢
 means of obtaining the right state of mind =正しい心の状態を得るための手段
 state of mind = 心の状態
 need to obtain some special mind = なにか特別の心の状態を得る必要

 
 
 座禅の姿勢をとる上でいちばん大事なのは、背骨をまっすぐに伸ばすことです。それぞれ耳と肩は、同じ線上にあるように します。肩を緩め、頭のてっぺんを天井に向かって伸ばすようにします。あごをひきます。  あごが上をむいてしまうと、姿勢に力がはいりません。
 姿勢の強さを保つには、 横隔膜を、下腹― 日本ではハラ といいますが― に向かって押し下げる ようにすることです。こうすることで心のバランスたもつことです。
 この姿勢をとると、最初は自然に呼吸をすることが難しく感じられるかもしれません。しかし、いったん慣れてしまえば、 自然に、深く、呼吸ができるようになるでしょう。
 
◇◇◇ 
 わたしが最初に坐ったのは、数十年前、鎌倉の「建長寺(臨済宗)」。会社の教育研修部主催の一泊二日の参禅会。
 午後、お寺にはいり、一回だったか、二回だったか大きな部屋で座る。脚が痛い。体が前後に動く。警策(きょうさく)が飛ぶ。
 
*1: 円覚寺(北鎌倉;臨済宗)、総持寺(鶴見;曹洞宗)の参禅会では、こちらから合掌して求めない限り警策を 受けることはない。 
 
 夜、食事のとき、お新香を残したら、エライ説教をされた。100人くらいが雑魚寝。隣のふとっちょがイビキをかく。
 早朝、鐘の合図で起床。法話。意味不明。座禅。作務(さむ:境内の掃除、くさむしり)。観光客用の喫煙所でタバコをすっていたら、 お坊さんにみつかり、エライ説教。作務も修行のうちだとか。
 それから、一回だか二回だか座る。脚が痛い。体が前後に揺れる。警策 *1。午後解散。
 
 そのときには、「作務中に喫煙所で煙草を吸うな」とか、「お新香を残すな」とか、事前に言ってくれればよかったのにと思ったりする。会社の研修会で、心の準備、意味も分からず参加したのだ。
 姿勢とか呼吸の指導もなかった。いきなり座れ、いきなり食事、いきなり作務。坐禅堂では口をきいてはいけないのだ。
 
 今、as of 2018 05 06 振り返ってみると、当時の会社の教育研修部は、社員の忍耐力を試していたのかもしれないなあ。
 意味も説明せずに、彼らがどこまで忍耐強いかを観察する。
 あるいは、もっと素直に解釈すれば、世の中にはコンピュータの世界意外に理不尽な世界があることを「愛をもって」体験させていたのかもしれないなあ。
 いずれにしても、建長寺の指導僧と会社の教育研修部とさらに受講生とのあいだに、姿勢の重要性や呼吸の大切さを 学びましょうという共通理解はなかったなあ。
 
 それでも出会いは不思議で、それから20-30年後に、円覚寺や総持寺で座るようになろうとは!?