行動経済学 45 金利上昇
ダン・アリエリー 「予想どおり不合理」 09 2018 02 03 (Sat)
今週は、日米で株価が乱高下した。その要因のひとつに「金利上昇」があるらしい。
① バーナンキ、イエレン。米国の金融正常化が始まっている。だが米国の金利上昇で、なぜ日本株が下がるのだろう?
② 今の銀行金利は限りなくゼロに近い。庶民は預金をしても、冗談程度の利息しかつかない。黒田さんたちは 何を考えているのだろう?
③ 金利が上がると銀行の貸出金利も上がるので、銀行にとってもいいことなのに、金利上昇期待で、日本の銀行の 株価が下がっているのは何故だろう?
④ 10 年物国債の金利は、米国が 2.8%, 英国が 1.5%、日本が 0.08% である。どうして国によって こんなに大きな金利差があるのだろう。どうして、日本円を借りで米国債を買う、という裁定取引が行われないのだろうか。
これまでの経済学で教えられたこととは、異次元の世界になっているのだろうか。
ここ数日の新聞・雑誌記事から、現象面の情報を集める。
・ 「米国の新車発売 続く調整色」 米長期金利の上昇基調が鮮明で、米新車販売を支えてきた低所得者(サブプライム) 層向け自動車ローンの条件が厳しくなっている。日本車も含めて米自動車販売は先行き不安を抱える展開が続く。
そうか、自動車ローンの条件が厳しくなり、自動車の売れ行きが落ち、自動車関連会社の株が下がる、 というのは分かる。ところで余談だが、久しぶりに「サブプライム」という言葉に出会ったなあ。
・ 「日米で金利上昇、株安進む ドル安・原油高起点に」 米インフレ期待の高まりで米長期金利が足元で急上昇。日本の 長期金利にも波及し、日米で株安が進行。米長期金利上昇は資産運用の基本になる米国債の価格下落を意味し、急激な変化は 金融市場の波乱要因になる。
米インフレ期待の高まり → 金利上昇 → 国債価格下落 → 金融市場の波乱要因 → 株安 ということだ。 一直線の因果関係は分かりやすいが、世界経済は複雑系システム。安易な還元主義は避けなければ。
・ 「米金利の上昇は、ドル安が起点(みずほ証券・上野泰也氏)」 日欧の金融正常化が速まるとの観測が強まり、ドルが円やユーロに対して売られ やすくなる。
日欧の金融正常化が速まるとしても、急に米国の金利に追いつくわけではない。 時間差がある筈。特に黒田さんは、ゼロ金利政策を維持すると繰り返し公言している。
通常、米長期金利が上昇し、日米金利差が拡大すると、より金利の高い米国に資金が流れて、 ドル高・円安の流れになるはず。この逆転はなぜか?
・ 「アメリカファースト」 米国の保護主義懸念や日欧の金融政策の正常化観測で、投機筋を中心にドル売りに傾いて いる(あおぞら銀行・諸我晃氏)。
年3回とか4回、米国はすでに、着実に金利をあげている。黒田さんはゼロ金利政策を続ける、 と言っている。日本が正常化するまでは、ドル高になるなら分かるが、投機筋はそのずっと先を読んでいるのだろうか?
・ 「米国の利上げはドル高に」と見られていたが、市場では短期的に一段の円高・ドル安との見方が広がっている (三菱東京UFJ銀行・内田稔氏)。
内田さんは、円高・ドル安は「短期的現象」だと言っている。なぜ、短期的にでもそうなるの?
・ 「米国第一 ドル安に波及 米政権が容認発言 閣僚ら保護主義で足並み」 トランプ大統領は、中間選挙を意識し、 輸出増をねらう。ムニューシン米財務長官は、「『強いドル』と言い続けてきたこれまでの財務長官とは異なる」 と述べる。
何でもありのトランプと閣僚たちの一貫性のない政策が、市場の不安定要因になる。
◆◆◆
わたしのこれまでの理解では、米長期金利が上昇し、日米金利差が拡大すると、より金利の高い米国に資金が流れて、 ドル高・円安の流れになる はず。
この見方の逆転現象が起きている。上に引用した識者は、
(a) 投機筋が先読みしている(諸我さん)、(b) 短期的な現象(内田さん)、(3) トランプ政権の一貫性のない選挙対策、との見方がある、と 指摘する。
それでも、冒頭の疑問、① ② ③ ④ には答えていない。
それとも、安倍さんはともかく、黒田さんだって五年たっても解決できない。伝統的経済学が通用しない世界に入ってのだろうか。
「行動経済学」「はれのひ」「仮想通貨」「長期金利」。わたしの理解を超えることがますます増えていくなあ。