日経歌壇穂村・三枝選 2018 02 03 (Sat)
◇ 「いまなんじ?」「今三時だよ」と答えれば「なんで?」とさらにおさなごは訊く
大人には「いまなんじ?」という問いはあっても「なんで?」はない。さすがは「おさなご」だ(ほむら)。
◇ 背にリュックユマホ見つめる若者たち街に今様二宮尊徳
今様=当世風、今風。大手通信三社がそのうちに銅像を建てるかも。
大手通信三社がそのうちに銅像を建てるかも。
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日経歌壇穂村・三枝選 2018 01 20 (Sat)
◇ ご健勝をお祈りしますと年賀状社交辞令でなき日が来たり 茅ヶ崎 磯田清
型通りの挨拶にも実感が籠る。年齢を重ねたひとならではの感慨だろう(さえぐさ)。
そう、わかる年齢になったなあ。
◇ ムハマンド仏陀イエスが相集い信者を諭す声なきものか 八王子 藤田孝
ついでに歴史を捲き戻して、
ムハマンド仏陀イエスが相集いて教義内容・表現・戦術を協議できないものか 横浜 緑の灯火
中七(なかひち)がちょっと字余り。
◇ 不名誉にされた「忖度」忍びなし元はいえば他者への気遣い 東京 鮎川渓
「忍びなし」がいいなあ。
◇ 慣性の法則によりあとはもうどこまでゆけるか 掛川 村松建彦
エントロピーの法則によりあとはもうどこまでゆけるか 横浜 緑の灯火
剽窃(ひょうせつ)だが、まあ、いいでしょう。どんどんやりましょう。
◇ クッキーとビスケットの差を教わった百年よりも短い旅で
「知った」「学んだ」ではなく「教わった」という言葉の選びからがいい。私はその「差」をまだ「教わって」いない(ほむら)。
◇ 色だけで信号の中にいる人のことを今では誰も見ていない 札幌 清信かんな
「信号」のことを詠いつつ、それ以上の暗示されているようだ。目の前の「人のこと」もそうなのでは。(ほむら)
◇ 夕焼けコンビニ夕焼けコンビニ夕焼けコンビニ交互に見る 森口 小杉ぎんなん
こんな繰り返し表現だけでもいいのだなあ。
◇ 光とは熱あるものと思う人徐々にきえゆく昭和の人から 千曲 米沢義堂
天井の蛍光灯は寿命か、ちかちかする。取り換えようと触ると熱い。HAC(ウェルシア)に行く。 LEDにしなさい、と平成生まれらしきバイトの店員。
日経歌壇穂村・三枝選 2018 01 13 (Sat)
◇ 「沼津という街で x の値を求めていたころ、逢っていればな」 東京 上坂あゆ美
地元の学生だった頃を「沼津という街で x の値を求めていたころ」と云い換えたことで詞が生れた(ほむら)。
◇ 底知れぬ恐さ老いにはあるんだな耳遠くなるスピード早し 下妻 神部貢
◇ 投了し動かぬままで隅に居た香車に敬語で話す指先 狛江 三上栄治
坂田は「銀が泣いとる」といったそうな。
◇ 六十もこんなに過ぎて來し方のあれこれすべて諾(うべな)ワイン 仙台 江川森歩
諾う=うべなう=同意する、謝罪する、わびる。