薬物依存対策で孤軍奮闘の松本俊彦先生(国立精神・神経医療研究センター精神科医)のエッセイより抜粋。 『ダメ。ゼッタイ。』は嘘だ。この世には良い薬物も悪い薬物もない、あるのはよい使い方と悪い使い方だけ。そして悪い使い方をするひとは何か他の困りごとかあるのだ。こう言い換えてもいい。「困ったひと」は『困っているひと」なのだ、と。だから国が薬物対策としてすべきことは法規制を増やして無用に犯罪者を作り出すことではない。薬物という「物」に耽溺せざるを得ない、痛みを抱えた「人」への支援こそが必要なのだ。 『誰がために医師はいる〜クスリとヒトの現代論』松本俊彦著 みすず書房
