メディアラボで米国の医療のダイナミックな変化をレクチャーしていただいた米国在住の安西英雄先生からご挨拶を頂戴した。私ひとりで読ませていただくのはもったいない内容なのでご本人の承諾を得て転載させていただく。なお来年も安西先生にはご講演をお願いするつもりだ。(以下、転載) 林真一郎先生
拝啓 当地も何度かうっすらと雪が積もり、めっきり冬らしくなりました。先生にはお元気でお過ごしのことと存じます。
米国では医療はもはや病院内だけのものではありません。人々はいつでも医師をスマホの画面に呼び出し、診断と指示を仰ぎます。近所のスーパーには薬局やミニクリニックがあり、気軽に慢性疾患や軽度の不具合の治療を受けることができます。また慢性病患者を自宅に訪問診療する仕組み(Independence at Home)が推進され、成果をあげています。ウェアラブル機器は人々の日常活動を計測し睡眠分析を行い、より良い生活習慣を送るよう励ましてくれます。
こうして米国は、ITの進歩を大いに活用しながら、医療とヘルスケアが日常空間にあまねく存在する「ユビキタス医療」の世界に向かっているように思われます。全体を貫いているのは、患者中心の(patient-centered)医療、価値に基づいた(value-based)医療という、患者の人格を尊重し、予防を重視する考え方です。その原則はさらに「患者中心の医薬品開発」「患者中心の臨床試験」「患者参加の学会」など、いろんな方面に展開されつつあります。
必要とあれば変革を恐れない米国人の実行力には、いつもながら感心します。面白い仕組みを見るたびに、これ日本ではどうか?と思うのですが、あまりの環境の違いに、考えがその先に進みません。ともあれ、米国がどうなっていくのか、今後も見守りたいと思います。
皆様の一層のご健康とご発展をお祈りしつつ、年末のご挨拶とさせて頂きます。どうぞ良いお年をお迎えください。
敬具
2019年12月 Anzai & Associates
安西 英雄
拝啓 当地も何度かうっすらと雪が積もり、めっきり冬らしくなりました。先生にはお元気でお過ごしのことと存じます。
米国では医療はもはや病院内だけのものではありません。人々はいつでも医師をスマホの画面に呼び出し、診断と指示を仰ぎます。近所のスーパーには薬局やミニクリニックがあり、気軽に慢性疾患や軽度の不具合の治療を受けることができます。また慢性病患者を自宅に訪問診療する仕組み(Independence at Home)が推進され、成果をあげています。ウェアラブル機器は人々の日常活動を計測し睡眠分析を行い、より良い生活習慣を送るよう励ましてくれます。
こうして米国は、ITの進歩を大いに活用しながら、医療とヘルスケアが日常空間にあまねく存在する「ユビキタス医療」の世界に向かっているように思われます。全体を貫いているのは、患者中心の(patient-centered)医療、価値に基づいた(value-based)医療という、患者の人格を尊重し、予防を重視する考え方です。その原則はさらに「患者中心の医薬品開発」「患者中心の臨床試験」「患者参加の学会」など、いろんな方面に展開されつつあります。
必要とあれば変革を恐れない米国人の実行力には、いつもながら感心します。面白い仕組みを見るたびに、これ日本ではどうか?と思うのですが、あまりの環境の違いに、考えがその先に進みません。ともあれ、米国がどうなっていくのか、今後も見守りたいと思います。
皆様の一層のご健康とご発展をお祈りしつつ、年末のご挨拶とさせて頂きます。どうぞ良いお年をお迎えください。
敬具
2019年12月 Anzai & Associates
安西 英雄