写真は代表的なギリシア料理のムーサカ。挽肉に茄子、そしてジャガイモをシナモンで味付けたもの。これがギリシアに行ったときに絶品で、あちこちで食べたものだけど。日本にいても、たまに食べたくなるのだ。ふふふ。
グリーク・コーヒーだけは、ね。ちょっと残念だ。ボクが淹れた方がおいしい。ふふふ。でも、まあ、それ以外は最高のお店。
鳥居みゆきのDVD、『狂宴封鎖的世界「再生」』 を観た。ようやく観ることができた。鳥居ワールドは面白いんだけど。中てられるからね。心が健やかなときに観たいもんね。ふふふのふー。
さて。『狂宴封鎖的世界「再生」』は『ハッピーマンデー 』 と『故 鳥居みゆき 告別式~狂宴封鎖的世界~』に続く3作品目のDVD。前作の『故 鳥居みゆき告別式 ~狂宴封鎖的世界~』 は「告別式」がテーマになっていて、今回のテーマは「結婚式」だ。だから、何となく二部構成的な雰囲気を感じた。でも、今回の「再生」の方が圧倒的に面白い。全体的なバランスとか、構成のよさとか、とにかく完成度が高い。無駄がない感じ。
大筋の物語としては、次のとおり。結婚式を目前に控えた花嫁が、ドレス姿で移動中にトラックに轢かれそうな子供を助け、代わりに交通事故に合う。そして花嫁衣裳のまま、トラックと樹木の間に挟まれて、少しでも動いたら内臓をぶちまけて死んでしまうというシチュエーション。それでも結婚式に執着する花嫁は、そのまんまの格好で結婚式を敢行しようとする。何て異常なシチュエーション! そして、鳥居みゆきの怪演。それでも結婚式に執着する女性の執念みたいなものが、すごく怖いのだ。
そんな結婚式を軸に、コントが間に差し挟まる格好で舞台は進行していくわけだけど、コントの設定だって尋常じゃない。万引きをして捕まってしまったいじめられっ娘、雪山で遭難して仲間を食べてしまった山岳部員、ゴミ屋敷に暮らす女、死刑執行を待つばかりのトラック運転手……。でも、みんな、不器用に、それでもひたむきに生きている感じがするから不思議だ。今回の作中、鳥居みゆきが「死にたくない。生きていたいよ」と呟く。それがものすごく印象的。鳥居みゆきのコントは、どうしたって「死」にまつわるものが多い。「死」とか「絶望」とか「孤独」みたいなものを剥き出しのまんま提示されるから、観ていてヒリヒリする。でも、今回のコントの中で、鳥居みゆきは「生きていくことは死への階段を一歩一歩昇っていくことだ」と言う。そして、絶望の中にありながら、それでも「生きていたい」と願う。これが、ボクにはすごく印象的だった。暗い中に、明るいものがある。
そして舞台の最後で、物語は急展開を迎える。歪な結婚式の末に訪れた意外な結末と、そして破壊。そうして、最後のコントが幕を開けて、ボクは唖然としてしまった。本当に唖然としたのだ。これまで構築していた色々な世界が、化けの皮を剥がされていくというか、ぶっ壊れていくというか。全てのコントが、結婚式を軸に次々と有機的に結びついていたのに、それが最後の最後でぶちんと断ち切られるというか。冷水を浴びせられたというのか。現実に引き戻されるというか。そのカタルシスに、圧倒された。うん。ものすごく完成された作品だと思う。
ボクも鳥居みゆきの作品って、人を選ぶよなあと思っていた。でも、今回の「再生」だったら、ボクは万人にオススメできる作品だと思う。鳥居みゆきの思想が反映されたひとつの作品として見ることができると思う。
どうやらボクは世界史が大好きらしい。本屋さんで高校の世界史の資料集を買って、一日中、眺めていた。昔から、色んな出版社の世界史の教科書とか資料集を持っているボクだ。こいつらを読み比べる。大抵、一冊、二冊読んでいるだけじゃ、ホントのところは分からない。「ホントのところ」というのは、歴史的な真実のことじゃなくって、教科書を編纂した人たちの意図のこと。さらりと書いてある言葉の意味することが、分からないのだ。読み比べてみて、いろんな表現とか文章に触れて、俯瞰的に眺めたとき、実に慎重に言葉が選ばれていることに気がついて感心する。ニュアンスとか、ね。ああ、この一文は、こういう意味だったのかー、みたいな。
多分、そういうのは世界史に限ったことじゃない。神話の書籍を読んでいたって、英語のテキストを読んでいたって、何を勉強していたってそうだ。表層じゃない、本質を理解するのって、実はすごく時間がかかる。
でも、好きなものって、時間を費やすのに苦労しないというか。楽しくて、楽しくって。あっという間に時間が過ぎる。ボクにとって世界史とか、言語の本とか、神話の本がそんな感じ。気がつくと没頭していて、一日が終わってしまう。そんな感覚。
今日は、世界史の資料集を端から端まで、舐めるように読んでしまったよ。トホホ。
その成果がこのページ に、一応、反映されている(笑)。