ロシアの精霊を巡る旅(1) | blogでGO! GO!! ~ヘタっぴなblog~

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「本に書いてあること」が正しいとは限らない。よくあることだ。信用しちゃいけない。今日も、それで苦しめられた。

妖精に興味がある人や、スラヴ伝承に興味がある人だったら、ヴァンニクという妖精を知っているかもしれない。スラヴ伝承に登場する浴槽の精霊だ、と色んな書籍で書いてある。アルファベットが載っている書籍もあって、Vannikなどと書いてある。「書いてある」のだ。でも、正しくない。

ロシア語のスペルをみてみよう。

  Ба́нник

なるほど。これをアルファベットにしてみる。

  Bānnik

つまりカタカナにしてみれば、

  バーンニク

ヴァンニクなんて表記は大きな誤りだし、Vannikなんて表記は大誤りだ。

さてさて、ヴァンニクという名前がロシア語で《浴槽》を意味するва́нна〔vānna〕(ヴァーニャ)に由来するという解説は妥当だろうか。これもいくつかの書籍に書いてある。

でも、これも胡散臭くなる。ва́ннаとБа́нникじゃ、発音もスペルも全ッ然、違う。よくよく調べてみたら、ロシアの伝統的な風呂であるバーニャБа́ня(蒸し風呂、サウナ)に由来することがわかった。全くもぅ。

要するに、誰かが間違えて書籍に書いたものを、後から読んだ人がたいした確認もせず、鵜呑みにして写して書いて、結果、色んな書籍に同じ記述があるという状況になっているわけだ。

斯くの如くして、「本に書いてあること」が正しいとは限らない、というわけ。

……クソゥ。必死でヴァンニクのスペルを求めて英語サイトやロシア語サイトを巡ってしまった。時間、返せ~。