東野圭吾の小説の映画化『麒麟の翼』。

TV放映されていたので見るとはなく視聴。

 

東野圭吾の人気ミステリー「加賀恭一郎シリーズ」第9作の映画化。

同シリーズが原作で2010年に放送された連続ドラマ「新参者」、

11年の単発ドラマ「赤い指」に続き、阿部寛が主人公の刑事・加賀恭一郎を演じる。

東京・日本橋の翼のある麒麟像にもたれかかるようにして死んでいた

男の捜査に当たる加賀だったが、容疑者の八島が逃亡中に車にはねられ意識不明に。

八島の恋人・香織は涙ながらに無実を訴えるが……。

(映画comよりあらすじ部分の抜粋)

 

 

『祈りの幕が下りるとき』や『眠りの森』が、私は全然面白くなかった。

東野圭吾の作るキャラクターと、阿部寛は似合っていると思うが、

東野圭吾の苦手とする(?)人間の心の動きを

中心に据える映画・ドラマが多いため、どうしてもズレが気になってしまう。

 

東野は心の機微を描く小説家ではないが、コミカルで軽妙なものがうまい。

そこに理工学部っぽいオタク加減や、トリッキーな謎解きが入って、

彼の小説の素晴らしさが完成するのだと思う。

それなのに、違った方面の小説で直木賞をとっちゃったので、

本来と違う方向性の小説が増えてしまったように思うのだ。

 

人気キャラを捕まえて失礼かもしれないが、

加賀恭一郎は、理想の東野キャラとは違うんじゃないかな、と。

 

そういうわけで、このシリーズの映画からそっぽを向いていたのだが、

謎解きの中身がいろいろあって、『麒麟の翼』は悪くなかった。

翼のある麒麟、千羽鶴、赤い鳥居の神社など、各場面のビジュアルが美しかったし

インターネット内のアノニマスな(自分ではない)キャラづくりなど、

彼らの(というよりも理学系的な)心の動きが、ピンと来る気がした。

素直で、悪意や作為までもがクリアな少年・元少年たちの行動も、

クリアに説明できる心の動きしか描かない(描けない)東野ならではだと思う。

 

そういうわけで、加賀恭一郎シリーズの中では、例外的におすすめな映画です。