藤に肩すかしで八重の桜に | がいちのぶろぐ

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好天になった日曜日。今日は、今宮神社の「やすらい祭り」や、鷹峯の常照寺の「吉野太夫花供養」といった有名なお祭りも予定されていた。

 

「やすらい祭り」には昨年行ったけれど、「吉野太夫花供養」は行ったことがないので、一度出掛けて見たいとは思っていた。でも不思議なもので、何か気乗りがしなかった。

 

 

(昨年のやすらい祭りで「赤熊」の踊りの奉納/今宮神社)

 

やはり明後日から入院が待っていることが、積極的に行動できない、何がしかの影響を与えていたかもしれない。なので、人混みになりそうなお祭りには行かないことにした。

 

コロナ禍は収まっているように思えても、まだ感染している人もいるし、病院からの注意事項として、入院の5日前からは人混みを避ける、などという指示も出ている。

 

ということで、今日は、桜がいよいよ終わりそうだし、昨日まででゲップが出るくらい桜は見たから、その次なら「藤」のシーズンだろうと判断して、藤棚のある場所を探した。

 

京都市内ではないが、宇治の平等院の藤は有名だけど、ここへは以前にも行ったことがある。また、真如堂眞正極楽寺も本堂の脇に藤棚があるのは知っている。

 

 

(平等院の藤棚/この時はもう満開を過ぎていた)

 

昨年には、広沢池の畔にある遍照寺に行ったとき、思いがけず藤が満開になっていた。これは、まさに思いがけない出来事で、ラッキーという感じになった。

 

 

(遍照寺の藤の光景)

 

それで今日は、堀川寺の内にある「妙蓮寺」に藤棚があることを思い出した。ここなら、あまり遠出もしなくてよい。ネットで調べたら、昨年は今ごろでも満開となっていた。

 

 

 

ここは行きやすいし、それに方丈の前庭の「十六羅漢石庭」という庭も、一度は見ておきたい。ということで、きっと人も少ないだろうと思って、出掛けてみた。

 

このお寺へは何度かお邪魔しているけれど、以前に来たのは桜の時期と酔芙蓉の見物だった。今日は山門を入ってすぐの鐘楼の脇の、それほどは大きくないという藤棚を目指した。

 

ということだったのだが、まず目に飛び込んできたのが、鐘楼の前にある八重桜だった。これは今が満開で、見事な花を咲かせていた。〝何のこっちゃ〟という肩すかしの気分。

 

 

(鐘楼の前の八重桜)

 

一方で、鐘楼の脇の藤棚は2分咲きと言えば良いだろうか。チラホラと可愛い薄紫の花を開かせているけれど、ほとんどは蕾のままで、垂れ下がらず開花を待っている状態。

 

 

 

オイオイ、冗談は顔だけにしてね、と言いたくなる。今年は桜の開花が平年並みというか、昨年より遅かった分、残念ながら藤もそれにならって開花が遅くなっているようだ。

 

 

 

その結果、本堂の脇にある紅枝垂れの八重桜が、むしろ暑苦しいと思えるくらい、花をいっぱい着けている。鐘楼の前の八重桜より色が濃い分だけ、こちらの方が主張が激しい。

 

 

 

 

 

 

ということで藤に肩すかしを食ったので、それではと、お庭拝観に行ったところ、方丈では現在着物の展示会を行っているので、その期間は〝拝観をしていない〟というのだ。

 

なんですと、それは聞いてないよ~。ところが、お寺の事務員の方が、長谷川等伯の絵画などは見られないけれど、お庭だけなら見られると言ってくださった。

 

しかも、展示会に来られた方は当然無料なので、それに準じて拝観料はいらない、とまで言ってくださるではないか。ありがたや、南無妙法蓮華経。

 

 

 

ちなみに妙蓮寺は、本門法華宗の大本山。境内には日蓮上人の像も立っている。

 

それで、事務員の方に案内されて、最初は坪庭へ。こちらでは、可憐なキリシマツツジが咲いていた。障子窓を開けると、額縁風の撮影ポイントになると教えてもらった。

 

 

 

さらに奥にある、方丈前の「十六羅漢石庭」は、さして広くはない枯山水の石庭。桂離宮の作庭にも関わった、江戸時代初期の「玉淵坊日首」の作庭と伝わる。

 

真ん中の「臥牛石」を中心に石が配されているが、臥牛石を釈迦涅槃像に見立てれば、周囲の石が涅槃に立ち会った十六羅漢に当たるという。

 

 

 

ただし、実際は周囲の石は15個なので、庭を見ている〝あなたが16番目の羅漢〟という意味になる、と解説板に書かれていた。そういう考え方もあるのだそうで。

 

 

 

ということで、とりあえずお庭は拝観できたけれど、今度は、着物の「展示会を見て行ってほしい」という、展示をしているデザイナーの方の強めの勧誘が…。

 

その方と、その方の師匠でもあるお母上の二人展なのだそう。いただいたパンフレットでは、受賞歴も凄いお二人だということはわかった。

 

 

 

でも、我が家は着物と縁遠く暮らしてきたから、作品はとても良いものだとは思うけれど、その値打ちすらわからない爺さんなので、丁重にご辞退を申し上げた。

 

結局、藤の満開にはあと1週間や十日くらいはかかりそうだから、無事退院出来たら、あらためて来ても良いかな、という気分でお寺を後にした。