明日、明後日と、週末は天気が悪いという予報なので、今日、晴れている間にと、午後から京都国立博物館に出掛けていた。
ここは、春と秋には大掛かりな企画展が行われることが多いが、現在は「京博のお正月」と銘打って、「辰づくし-干支を愛でる」など、いくつかの特集展示が開催されている。
そうは言っても、1階から3階まである広い展示室が、すべて何かしらの特集の展示で埋められていて、それぞれが十分に見応えのある展示になっている。
(現在の展示室がある「平成知新館」/京都国立博物館)
何と言っても、この博物館自身が所蔵している文物も多い上に、それぞれの特集ごとに学芸員がキュレーション(目利き)をし、テーマにふさわしいものを集めている。
だから今日は2時過ぎに博物館に着いてから、1時間半を費やして、何とか全体の3分の2ほどを見て回ることができただけだった。
なぜ全部を見なかったのか。実は、京都市に住んでいる高齢者は、年齢確認ができるものを持参すれば、現在の展示は無料で観覧できるから。京博、えらい‼
(旧館部分は建物自体が文化財/京都国立博物館明治館)
つまり、今日は時間も少し遅めに出掛けたこともあり、この展示は2月半ば近くまで行われているので、今日見きれなかったところは、また改めて来れば良いということなのだ。
あらためて言います。京博、えらい‼‼
ということで、今日はもっぱら「辰づくし-干支を愛でる」という、今年の干支にちなんだ〝新春特集展示〟を中心に見て回ることにした。
ただ、この展示だけでも2階の全フロアを使うくらいの規模で、28点の様々な「龍」を飾っていた。それも、「さがしてみよう!こんな りゅう」というガイダンス付きだった。
絵巻物あり、銅鏡あり、拓本あり、屏風あり、陶磁器あり、日本があり、中国があり、朝鮮半島がありと、東アジアにおける「龍」のポジションを網羅的に示していた。
私としては、狩野山楽の「龍虎図屏風」2双(妙心寺・蔵)と、単庵智伝「龍虎図屏風」2双(慈芳院・蔵)の大作2つが並べて展示されていたのが、見応えがあったと思う。
狩野山楽のものは金屏風になっていて、風を巻いて下る雲龍の眼と、それを睨み上げる竹藪の虎の眼には、凛とした迫力があった。
一方、単庵智伝のものは、水墨画でしっとりとした感じで、下り龍の目もやや穏やかで、竹藪の虎に至っては、何となく気弱そうな三角の眼になっていて、可愛ささえ感じられた。
この単庵智伝が描いた〝虎の眼〟はどこかで見たことがある、と思っていたら、この京都国立博物館のキャラクター「トラりん」の眼に似ていた。
「トラりん」は「虎+琳派」から名付けていて、そのモチーフは尾形光琳の描いた「竹虎図」の〝虎〟なのだそうだ。今日の単庵智伝も、同じようにデフォルメされた眼だった。
館内はほんの一部分を除いて、基本的には撮影禁止なので、この大作の4双の屏風を写真に撮ってお見せできないのが、ホントに残念で仕方がない。
(高精細で復元された屏風が展示されていた/これは撮影が可能)
今日は、私の入場料が無料だったことは置いておくとして、〝雲龍・竹虎〟を題材にしつつ、趣きがまったく異なった2つの屏風を見られただけで、十分に行った価値があった。