今日は朝早めから、大徳寺方丈の〝解体修理〟中の現場見学会に参加。京都府文化財保護課が主催し、抽選で希望者に府の担当者の解説付きで見学をさせてくれる、というイベント。
今日一日だけの開催で、4回行われる。各回15名内外の参加ということで、私は第1希望が朝9時半からのコース。これに当選して、見学に出掛けてきた。
府の文化財保護課の女性技師の方の案内で、普段は公開されていなかった方丈へ行く。と言っても現在解体修理中だから、枠組みだけ残して建物は〝がらん洞〟になっている。
こうした文化財の大修理の見学などは、滅多に機会が無い。今日は、大きな方丈の8部屋の壁も天井も屋根も無い状態で、建物の特徴の解説や諸々の〝小ネタ〟の解説。
垂木がどんな風になっているとか、屋根の重量を支える仕組みにはこんな工夫が、などと細かく解説していただいたけれど、建築の専門家でない私は、ただ〝ホェ~〟というだけ。
でも、400年前に最初に建築された時、当時の宮大工さんが、現場の屋根裏に忘れて行ったという「ノミ」の実物を見せてもらった時は、〝うわぁ~、すごい〟と感心した。
また、昔に使われていた釘は、今回の修理でも使えそうなものは、あらためて鍛冶師が叩き直して再使用する、という話もやはり〝ホェ~〟という感想。
こうした文化財の解体修理の場合には、可能な限り、元々使われていた部材を利用するのが原則なのだそう。そんなものだと思う。だって、せっかく何百年も生き延びてきたのだから。
そんな中の一つが「畳」。〝使われてきたもの〟としては日本でも最古の畳で、400年前から修理をしながら使い続けられてきたものが、残っていたということだった。
畳の裏側に製造者の名前や、敷かれる場所を示す数字だったり、製造した年月日などが墨書されていたそうで、今もうっすらとそれが読める。だから分かったらしい。
長年月の間に畳床が弱くなっているから、それを何度か補強しながら使っていたそうだ。先人の知恵と努力を、今この場で見せてもらっている感じ。
あれやこれやと説明を聞きながら方丈をグルッと一回りしたら、意外にあっさりと45分ほどで回り終えた。それでも、とても貴重で楽しい時間だった。
中でも、屋根の一番上に乗っている棟瓦は、明治期に修理をしたときのものと、昭和の初めの修理のものを、どちらもこれからまた再使用するために置かれていた。
パッと見た目にはそっくりなんだけど、どことなくくすぶり具合というか、微妙な色合いの違いなどがあるように思えた。でも、100年以上の風雪に耐えてきた。すごいなぁ。
写真撮影は解体修理の現場の中だけということで、方丈の前にある国宝の「唐門」は、対象外の場所だったから、見るだけで終わってしまったのが残念だった。
この見学会が終わっても、まだ10時半になっていないくらいだったので、大徳寺の山内にありながら、私がまだ行けていなかった塔頭にも行った。それはまた明日にでも。