ダイバーシティの道はなお遠い? | がいちのぶろぐ

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観光・伝統産業関連などについて、「がいち」が考えたこと、思ったことを書きとめてゆきます。

昨日は、意図的にブログを書くのをサボってしまった。特に理由があった訳ではない。もっとも午後2時から5時過ぎまでは、オンラインでの会議があったけれど。

 

さて、時々このブログで紹介しているビジネス雑誌「理念と経営」の2月号が届いた。今号では第2特集で、「ダイバーシティ経営最前線」が特集されていた。

 

 

 

「ダイバーシティ」という言葉は、もう説明する必要も無くなったと思うけれど、「多様性」という訳語が当てられる。この特集では、「社内人材の多様性」という意味で使われていた。

 

特集の扉ページは、「女性をはじめとする多様な人材の活躍は、日本の経済的成長にとって不可欠」という言葉で始まっている。

 

 

 

そして、「個々の特性を活かしながら、生き生きと働くことができる環境を整え、自社の競争力強化につなげている――そんなダイバーシティ経営の最前線を追った」と続いていた。

 

きわめて分かりやすい話だが、今どき、社内が〝おっさんの天下〟であれば、そんな会社に明日はないと思った方が良いだろう。

 

それでも、政府がいくら旗を振っても、現実問題として「女性活躍」が実現しないのはなぜだろう。そこに、〝分かっちゃいるけど止められない〟という社会全体の姿が見える。

 

この特集でも、例えばパートタイムで働く女性が働きやすいように、フレキシブルな出勤制度を取り入れている会社などが、その事例として取り上げられていた。

 

ただし、それだけでは〝パートさんの定着率が良い会社〟でしかない。それがダイバーシティの姿なのか、本当にそれで良いのか、という疑問も持ってしまうのだが。

 

この「理念と経営」誌がターゲットとしている、中小企業の実情としてはまだまだその辺りが、ダイバーシティの現在地なのかもしれない。

 

だが解説のページでは、資生堂で初めて女性の人事課長となられた、山極清子さん(株式会社WiWiW(ウイウイウ)会長)が、「無意識の偏見」ということを述べておられる。

 

 

 

「無意識」=アンコンシャスの「偏見」=バイアスとは、「人間の頭の中にある先入観や根拠のない思い込み」のことだと説明されている。

 

「これまでの経験や知識によって、頭に染みついてしまったものの見方や捉え方」と言い換えても良いだろう。これが「企業のダイバーシティへの取り組みを阻害する」ことになる。

 

つまり「無意識の偏見」とは、女性に対する見方だけでなく、「本来は能力のある人材が活躍する機会が気づかぬうちに奪われ」ることで、会社の業績を悪化させる。

 

 

 

山極さんが面白い話を披歴されている。「消費者が日常的な商品を購入する際、日本では74%が女性の意思決定に委ねられて」いるというのだ。

 

つまり、女性の感覚に合った商品を送り出さないことには、最終的な購買時点で商品が選択されないかもしれない、という指摘なのだ。

 

にもかかわらず、現実の問題として日本の企業では、「女性管理職が2割にも満たないのは不自然」だろう、ということが言いたいのだ。

 

まったくその通りだと思う。ダイバーシティという見方をすれば、女性ですらこんな状況であるのに、そこに外国人ということになれば、もう推して知るべきだろう。

 

スタッフに外国人がいるというだけで、どうすることもできずに、お客様扱いになってしまうのが関の山だろうか。もっと酷ければ、使い捨て部品のような扱いになるのだろうか。

 

私が関わっている「やさしい日本語」を広める団体も、日本人が外国人と接する場合に、どんなコミュニケーションをとり得るのかを考えてもらおう、という趣旨で活動している。

 

そこには一緒に地域で暮らしている人、一緒に職場で仕事をしている人同士、という前提があると思う。そんな場合の、コミュニケーションの方法を提案している。

 

そこには「ダイバーシティ=多様性」ということが、大前提として存在している。だから私に言わせれば、この特集でもまだまだ「女性活躍」レベルの話でしかない。

 

その先にある日本の姿を、早く見られるようになってほしいと思う。

 

いつもながら、この「理念と経営」誌は一般書店ではなかなか手に入り難い。ステマのようになるが、見本誌を提供しておられるので、興味があれば申し込んでいただければと思う。

 

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