「やさしい日本語」はSDGsの実践だ | がいちのぶろぐ

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今、私たちの団体では「やさしい日本語」をPRするためというか、保育園・幼稚園の先生方に向けて、「やさしい日本語」の入口となるパンフレットを作成している。

 

今年度上半期は、コロナ禍で対面でのワークショップが実施できなかった。そこで、ワークショップが開催できた時に役立つように、定住外国人へのヒアリングを続けている。

 

その一方で、仕事で定住外国人と接する機会がある方へのインタビューも、かなりの人数の方々にお願いをしてきた。

 

こうしたことから浮かんできたのが、保育園・幼稚園といった幼い子どもたちを預かる仕事では、保護者との間で頻繁に言葉のやり取りが行われている、という事実だった。

 

当たり前に行われていることだけれど、施設側から「お知らせ」といった文書で伝える連絡事項も多いし、毎日の子どもの様子も連絡帳などで保護者に報告する。

 

また〝お迎え〟に来た保護者と、ちょっとした会話によって情報交換をすることも多い。こうした場合に、もし保護者が定住外国人だったら日常的にどうしているのだろう。

 

昨年度に実施した、ある保育園の職員の方向けのワークショップでも、事後アンケートの回答で「英語でなくても良いとわかって、ホッとした」という感想を貰った。

 

 

 

私たちは「外国人とのコミュニケーションは、英語で行うものだ」と勝手に思い込んでいる。なぜそんな思い込みになったのだろう。

 

英語が〝ネイティブ〟ではない外国人の方が多い。むしろ私たちと同じように、英語を難しいと思っている外国人の方が多い、と思えばいいくらいだ。

 

もちろん、お互いに英語でスムーズにやり取りができるなら、それはそれで良い。しかし多くの定住外国人は、日常生活を営んで行く上からも、日本語を習熟しようと思っている。

 

多少でも日本語で会話ができれば、それによって日本人とのコミュニケーションの機会が増えて、自分の生活も楽になるから。

 

私たちも、もし必要にせまられて英語での会話を余儀なくされた時には、相手に『ゆっくり』と『短く』、『簡単な』表現で話してほしい、と願う日本人は少なくない。

 

間違っても、相手から英語で『まくしたて』られたら、日本人の多くは困るだろう。この当たり前のことを、日本人が外国人と日本語で会話をする時に気を付ければ良い。

 

そこで使われるのが「やさしい日本語」ということになる。ところで、私たちは気付いてないことが多いけれど、日本語にはオノマトペ(擬音語)がとても多い。

 

いや、もしオノマトペがなければ、日本語の表現は成り立たないと言っても良いだろう。「雨がしとしと降る」と言えば、普通は〝洪水警報〟という単語は思い浮かべない。

 

「土砂降りの雨が続く」と聞けば、「堤防は大丈夫かな」と反射的に思うような地域に住んでいる人もいるだろう。

 

では、日本語がまだあまりうまくない外国人に、「しとしと」と「ザーザー」と「土砂降り」のニュアンスの違いを上手く説明できるだろうか。

 

「雨が弱い(強い)です」と言えば、ある程度は理解しやすくなる。その時に、「身振り」や「口調」での〝表現の差〟を加えたなら、もっと分かり易くなる。

 

普段の何気ない会話を、もし録音してテープ起こしをしてみれば、こうしたオノマトペを多用した会話があまりに多いことに、むしろびっくりするだろう。

 

また、ちょっと複雑なことを説明する時に、「もし~であれば〇〇のようにしてね。そうでないなら、もうこの話は忘れてくれても良いから」という会話だったらどうだろう。

 

私たちは、「わかった。~にならないことを祈っておくよ」などと受け答えをして、会話が進んで行くだろう。この内容を、あなたが英語で相手から言われた、と想像してほしい。

 

その場合、かなりの数の日本人は英語が十分に聞き取れないか、もし聞き取れたとしても「エッ、つまり私はどうしたらいいの」と、困惑する人が多いのではないだろうか。

 

こんなことを、日本人と接した定住外国人は毎日経験していると思えば、定住外国人とどんな会話をすれば良いか、簡単に理解できるだろう。

 

 

 

「自分がしてほしい」と思うことを、相手に向かって行えばよいだけのことだ。

 

例えば私はタイ語の文字が、全く読めないし理解できない。同じように、漢字圏で生まれ育っていない人には、漢字が読めなくてもそれが当たり前なのだ。

 

だったら、少し日本語がわかる人には、漢字に振り仮名を振ればわかる可能性は増える。でもごく少数の人のために、あえて振り仮名を付ける作業はとても面倒くさいと言える。

 

ただ、それを面倒だと考えるか、必要な作業だと考えるか。SDGsなどと難しい言葉が流行語になっている。だったらSDGsの実践として、漢字に振り仮名を振ってみよう。

 

 

 

こういう話なのだ。だから私たちは「やさしい日本語」の普及に努めている。ということで、今週は4回のオンライン・ミーティングを行った。

 

高齢者と言っても、「なかなかハードに働いて(?)いるなぁ」と思った週末だった。