昨日配信されていたダイヤモンド・オンライン誌に、コンサルタントの鈴木貴博氏がちょっと興味を引く記事を寄稿されていた。
「ストローやスプーン、ハンガーを有料化するニッポン、その先に起きること」と題された、来年4月から施行予定の「『特定プラスチック使用製品』についての規制案」の紹介だ。
わが国では今日まで30年近くの時間を掛けて、「家電リサイクル法や容器包装リサイクル法などの法律」でペットボトルや家電製品などのリサイクルを行ってきた。
さらに昨年7月からは「レジ袋有料化」が開始され、有料化後は「7割の人がレジ袋を辞退するようになった」と言われている。一挙に、エコバッグが普及したのだ。
そこで「今回の特定プラスチック使用製品は、レジ袋を差し引いたさらに『残り』の中で規制できそうなものを選んで」規制をして行こうということだという。
対象となるプラスチック製品は、以下の12品目だ。
「スーパー・コンビニや飲食店のテークアウトで提供される、プラスチック製のフォーク、スプーン、ナイフ、マドラー、ストローの5品目」
「ホテルや旅館が提供する、歯ブラシ、ヘアブラシ、くし、使い捨てかみそり、シャワーキャップの5品目」
「クリーニング店で提供される、ハンガーと衣類カバーの2品目」
(私も出張のたびにビジネスホテルでお世話になった)
ただ「対策が義務付けられるのは、これら特定プラ製品の年間使用料が5トン以上の大規模事業者」に限られ、コンビニや大手スーパー、チェーン・ホテルなどが対象となる。
また「対策についても有料化以外に、事業者側には、消費者が特定プラ製品を受け取らなかった場合のポイント還元、受け取る意思確認、再利用、代替素材への転換などの選択肢」が用意されているそうだ。
つまりコンビニやスーパーでスプーンやストローを受け取る場合には、お金を払うことになったり、ホテルで歯ブラシを受け取れば有料だったりする、という事態も起こる。
さらに、すでに「一部のファストフードがストローを紙製に変えたという例」もあるように、これらを木、竹や紙などの代替素材に変えれば、これまで通り無料で良いとなる。
ところで最近、新聞の全面広告やテレビの広報などで、『プラ島太郎』というキャンペーンを見かけたことはないだろうか。プラスチックによる海洋汚染防止キャンペーンだ。
要は、海に流れ出てしまったプラスチックが小さな破片になり、これを魚類や海洋生物が呑み込んだり、海底に沈んで海底にすむ生物に悪影響を及ぼす、というキャンペーンだ。
さらに「プラスチックのような化石燃料由来製品の使用や、可燃ごみとしての処理量」を減らすことで、地球温暖化防止に向けた取り組みとすることも、目的となっている。
このように、今回の12品目というのは「使っている事業者がわかりやすい」から、ターゲットにしやすいことと、「象徴的に社会全体にメッセージを送る」という効果もある。
ここで微妙なのが、メーカーから出荷の段階で着けられている紙パック飲料のストローだ。これを取り外せば紙パック飲料は飲みにくい。メーカーはどんな対処をするのだろう。
また「クリーニング店で提供されるハンガー」は、思い返せばかつてはすべて〝針金〟製だった。ならば再び針金製に戻せば、この問題はクリアーされるのだろうか。
(我が家ではまだこれが活躍中)
コスト面で折り合いがつくのかどうか。洗濯物を入れた薄いポリエチレンの袋やカバーなどは、消費者に渡る手前まで使用し、最終的に取り外せばよいとなるのだろうか。
筆者の鈴木氏は、この記事のタイトルにある「その先に起きること」というテーマについて、最後に「生鮮食料品の『ノントレー包装』」を上げておられる。
「EUのスーパーに出かけると目にする」ように、「トレーを使わずに真空パックにした状態で肉や魚を売る」という考え方だ。
白色の発泡スチロール製の食品トレーは、日本でももっとも古くからリサイクルと取り組んできた歴史がある。しかし最近のトレーは、白色の発泡スチロール製が減っている。
また、トレーとセットになっている上蓋部分は、容器包装としての分類では、ずっと〝その他のプラスチック〟という分類で回収されている。
だからEUが行っているようにトレーと上蓋を無くしてしまえば、これは確かにプラスチック廃棄物に対して、大きな減量効果をもたらすことになるだろう。
鈴木氏は、今回の12品目の規制案に「賛否の声が上がるとは思」うが、「大きな流れのなかでの一つの政策だと捉えてその推進を応援したほうがいい」と結んでおられた。
地球温暖化による気候変動は、最近も日本では〝8月豪雨〟をもたらした。アメリカではニューヨークの大洪水や、カリフォルニアの山火事となって現れている。
(8月豪雨の時の様子)
私にはこれらすべてに地球温暖化が影響している、と言い切るほどの自信はないけれど、その可能性は大きいだろうと思う。
現状では激しく角突き合わせている米・中間も、二酸化炭素の排出量を巡っては、バイデン大統領が特使を中国に派遣して協議を行っている。
地球が滅亡することはないけれど、22世紀に人類がまともに地球に住めないとなれば、角突き合わせている場合でないことは確かだ。