散歩がてらに書店まで | がいちのぶろぐ

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今日は梅雨の晴れ間になった。昨日から言っていたように、せっかく晴れたのだから午前中はせめてどこかへ散歩に出掛けよう、と思った。

 

とは言っても、ここへ行きたいという当てがある訳でもない。むしろ、行く先がないから困っている、というのが本音なのだ。

 

そうなると、私の行く先は『書店』ということになってしまう。今日も結局は、京都の地場の大型チェーン書店「大垣書店」の、烏丸三条店に行くことにした。

 

 

 

買いたい本があるかと言われると、まあ有るような無いような、と言うしかない。無いわけでもないが、どうしても買いたいかと言われると、それほどでもないという答えになる。

 

私の場合、とにかく書店に行きさえすれば、確実に時間だけは潰せる自信はある。今日もその辺りを重視(?)して、大型店舗である大垣書店の烏丸三条店に出掛けた。

 

かつてジュンク堂京都店があった時期なら、各フロアの面積がそれなりの書店で、階数も1階から5階くらいまであったから、ひと回りするだけでも相当の時間潰しができた。

 

その点、大垣書店の店舗面積レベルではまだまだ物足りない。東京・八重洲口にある八重洲ブックセンターであれば、少なくとも3~4時間は確実に時間を潰せる自信がある。

 

近年のようにこれほどまでに書店が減って来ると、いったい学生など若い人たちは、日頃どうして過ごしているのかと不思議になってしまう。

 

きっと動画サイトやゲームと、音楽ソフトに囲まれて、文字から遠く離れた生活を送っているのだろう。この現象は〝活字離れ〟と言うより、〝文字離れ〟だと思っている。

 

本を手にするということは、活字とお付き合いするというより、文字とお付き合いをしているのだと思う。だから本でなくてネットからの情報でも、文字と接することはできる。

 

ところが今では、〝文字〟と接することすら、大きく減っているように思う。動画やアニメ、音楽ソフトなどからは、情報を〝文字〟ではなく〝音〟として受け取っているから。

 

結果的に出版文化は衰退の一方になっている。出版物の中でも、文字よりも画像に頼ることが多い雑誌でさえ、実売部数が大きく減少し、休刊や廃刊に追い込まれるものもある。

 

困ったことだと思うけれど、そう思っているのはもはや私の世代のように、若い頃は本を読むくらいしか遊ぶ〝すべ〟がなかった、高齢者世代の人間くらいのものだろう。

 

良い悪いではなく、何を楽しいと感じるかの選択肢が、かつてと比べて現在は大きく増えただけのことである。

 

それどころか、若い人たちはテレビすら見なくなっている。だからゴールデンタイムのテレビ番組でも、そこに流されているCMは、シルバー世代向けのものが急増している。

 

ということで、私にとってはワンダーランドだった大型の書店が、どんどんと経営が難しくなってきている。都心のビルの高い賃借料では、もはややっていけない状態なのだろう。

 

考えてみれば、私だってハードカバーで3千円以上もする学術書などは、滅多に買わなくなってしまった。高くても、せいぜい2千円くらいまでのソフトカバーの本になっている。

 

多くは新書や文庫など、千円前後までの書籍が中心になっている。それに、雑誌もあまり手に取らなくなった。何だか、毎月のように情報に追われている気がするから。

 

ということで今日は、ノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カーネマン著「ファスト&スロー あなたの意思はどのように決まるか?(上・下)」(ハヤカワ文庫NF、2014)を購入した。

 

 

 

これは、いわゆる『行動経済学』の端緒となった書籍である。文庫本と言っても、上・下巻合わせると、索引を除いて850ページほどもある大部なのだ。

 

私は以前、「行動経済学 経済は『感情』で動いている」(友野典男、光文社新書、2006)という新書を購入したが、著者の友野氏が「ファスト&スロー」の解説を書いておられる。

 

とにかく、今回購入した〝行動経済学〟に関するカーネマンの分厚い文庫本をきちんと読み切れるかどうか、精一杯頑張ってみようと思う。

 

 

 

〝人は合理的に判断する〟という、過去の経済学が基礎を置いてきた〝原則〟に、私はどうしても馴染めなかった。「感情」に流されてこそ、やはり人間らしいのだと思う。

 

だからこそ、この大部を最後まできちんと読み込んでいこうと思う。