それにしても、明るいニュースと言って良いのか、悪いのか。鳥取県で開催されていた陸上競技大会の男子100mで、山県亮太選手が9秒95の日本新記録を樹立した。
男子100mは桐生祥秀選手が4年前に9秒98の日本記録を出して、日本人初の9秒台に突入した。
記録を出した際の会場だった、福井県営陸上競技場はこの桐生選手の記録を記念して、現在は『9.98スタジアム』という名前になっている。
2年前には、アメリカにいるサニブラウン・アブドル・ハキーム選手が9秒97で桐生選手の日本記録を更新した。さらに同じ年には、小池祐貴選手も9秒98を出している。
だから今日の山県選手が、日本人で4人目の9秒台ランナーということになった。しかも2位に入った多田修平選手も10秒01という好記録だった。
ただサニブラウン選手は、数日前のアメリカのレースで10秒25という記録に終わり、予選敗退になってしまったそうだ。
100mという種目は、とてもデリケートな競技だと思う。先日、桐生選手はフライングで失格し、今日も予選では10秒01を出しながら決勝は棄権している。
そうした中でも、山県選手が日本記録を出したから、もし東京オリンピックが開催されたら、今回もまた4×100mリレーで十分にメダルが狙える位置にいると思う。
ただそうであっても、私自身はオリンピックを〝開催してほしくない〟という気持ちでいる。100mで、これだけタイムが揃った選手が多くいる状況は、滅多にあることではない。
そして次のパリ・オリンピックまで、この選手たちが頑張ってくれる保証もないけれど、今回この状況で、オリンピックとそれに続くパラリンピックの強行開催は無理だと思う。
今週末には、イギリスでG7サミットが開催される。その場では、もちろん地球温暖化対策などの世界的に重要な議題が話し合われるだろう。
さらに中国の南シナ海や東シナ海での活動や、ベラルーシの飛行機強制着陸と反大統領派のジャーナリスト拘束、その陰に見え隠れするロシアの行動も、当然議題になるだろう。
そんな中で、東京オリンピック・パラリンピックが議題になるだろうか。まともに取り合ってもらえるだろうか。〝エッ、開催するの?マジッすか?〟と言われて〝終わり〟かも。
もしそうであれば、世界に恥をさらしに行くことになる。当然ながら舞台裏では、現在も外務省高官など事務方による、他の6か国への必死の説得が続いていることだろう。
悲しいことだけど、G7サミットの終了から東京オリンピックまではわずか40日しか残されていない。開催しようにも、すべて準備不足の未定事項だらけ、という状況だろう。
選手への対応や競技の運営は、もちろん何としてでも間に合わせるだろう。それは、確かに何とかなると思う。〝手抜き・突貫〟はお家芸だと言われたこともあるから。
だが、海外からやって来る多数のマスコミ関係者や、メイン・スポンサーの招待客などに対する『対応マニュアル』は、昨日の報道では〝まだできていない〟と言うではないか。
選手などより、日本国内をウロウロされるのが一番困る人たちに向けた、細かい『対応マニュアル』が無いままであれば、どこが『安全・安心』の大会と言えるのだろう。
それをG7サミットで、他の首脳から指摘されたら、あの総理の発信力では答えられるわけがないだろう。それとも、そんな場合ですら官僚が書いた〝作文〟を読み上げるのかな。
だとしたら、ホントに恥ずかしい限りだなぁ。〝安全・安心な大会運営をします〟と繰り返し言うだけで、参加するトップの方に納得してもらえると、本気で思っているのかしら。
せっかくの、今日の山県選手の日本新記録に水を差すようなことになってしまった。こんなことを連日書くことになって、私も不本意だけど、こんな状況はひどすぎると思う。
それにしても、担当大臣が丸川議員で、組織委員会会長が橋本議員というのも、もはや自民党とその周辺が人材難そのものになってしまった現れかも知れない。