この前の参議院選挙を巡って、多数に買収工作を行ったとして有罪判決が出た、広島選挙区選出の河合案里議員が、辞職願を提出したというニュースがスマホに届いていた。
やっと辞職する気になったというか、これだけ袋叩き状態になっていても、なおしぶとく食い下がっていたのはいったいどういう心境なのだろう。
さらに夫の河合克行・元法相に至っては、案里議員と同様に買収疑惑で起訴されているが、法廷内で怒鳴ってみたり、弁護団が辞めたり辞めさせたりと、もうグダグダになっている。
このまま夫婦ともども有罪で失職となれば、きっと二度と浮かび上がることもなく、〝名も無き市井の人〟となって行くことに、二人揃って耐えられなかったのだろう。
どれほど〝手前勝手に〟誇り高くて、周囲の人から自分たちのことがどのように見られているのか、まったくわかっていない人たちなんだろう、と思ってしまう。
恐らく子どものころから、神童だの秀才だのと持ち上げられてきた人たちだろうと思う。その結果、自分たちを〝全知全能〟のように思い込んだのだろうか。可哀想な人たちだ。
せいぜいが〝国会議員になれる程度〟の人だったということを、未だにわかっていないのだろうと思う。
日本のプロ野球選手の登録は、各球団70名までと決まっているので、12球団で最大840名(育成選手を除く)が在籍している。
しかもプロ野球選手の場合なら、子どものころから〝天才〟と言われた人たちの中から、さらに選ばれてプロ野球界に入ることができた人たちだ。
一方で国会議員は総数が710名(衆議院465名、参議院245名)だから、全体として見ればプロ野球選手の人数とほぼ同じようなものだ。
だから国会議員という職業も、プロ野球選手並みに〝なりにくい〟職業ではある。だから、〝我こそは国会議員様であるぞ〟という感覚になってしまったのかもしれない。
そんな国会議員様が、県会議員や市長、町長、市会議員相手に、高々数十万円ほどの〝はした金〟を包んでやったからといって、何の文句があるのかとでも思ったのだろうか。なんとも困ったことだ。
この間、大臣経験者が〝むき出し〟の収賄を行ったり、緊急事態宣言で時短営業中の巷を横に置いて、深夜まで〝クラブ活動〟に励んだり、バカバカしい限りだ。人間として、何というレベルの低さだろう。
一方で庶民はコロナ禍で仕事が無くなったり、売上げが激減したり、店を閉店したりと、苦しみまくっている。だから議員としてどうなのかと、非難の嵐になっている。
〝そんな人だとは思いませんでした〟ということかも知れないが、そんな人だと分かったからには、この先、そんな人に議員をさせているなら有権者が悪いのだ。
次回の選挙は、離党したのだから公認候補としての立候補を党が認めないのか、それとも有権者の選択として落選してもらうのか、という話になる。
同じ状況で、公明党の幹部の方は議員辞職した上、次回は立候補しないという。なぜ、これほどまでに扱いが違うのだと、庶民の心に怒りの火がまたボッと点いてしまっている。
何とひどい話が続いていることだろう。この国の形が、これほどみごとに歪んでしまったのも、8年という長きにわたって嘘と強弁で済ませる人を、宰相としてきた私たちに責任がある。
しかもなおその人の人気が高く、下手をすればまた3度目の返り咲きがあるかもしれない、と言うではないか。恐ろしい国で、恐ろしい国民だ。
これは、政治家が堕落したのではない。国民がとことん堕落したと言っても良い。そうだとすれば、〝クラブ活動〟に励む政治家も「有り」だし、収賄や選挙の買収など何ほどのことがあろう。
コロナ禍で庶民が苦しもうと、それは庶民が〝勝手に苦しんでいる〟のであって、税金から給料をもらっている人の中でも、〝上の方〟に位置していれば、庶民の苦しみなどは無視すればいい。
こんな国になってしまったことを、このところ強く実感する日が続いている。なんたることだろうと思う。
それでもなお、3度目の宰相の座に就く日を待ち望む国民がいることを、私は心の底から怖いと思う。