ポスト・コロナでも観光は回復するだろうか | がいちのぶろぐ

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コロナ禍が収束すれば、国内の観光客が回復するのだろうか。政府が鳴り物入りで始めた「Go Toトラベルキャンペーン」は、ものの見事に空振りに終わっているが。

 

今日配信されていたダイヤモンドオンライン誌に、「コロナ後に観光で行きたい都道府県ランキング」という記事が掲載されていたが、改めて先行きの暗さを想像させる内容だった。

 

これはブランド総合研究所が、「全国の消費者約1万人を対象に、『GoToキャンペーンに関する意識&ニーズ調査』を実施」した結果ということだった。

 

 

(那覇市・首里城横にある「石敢當」/沖縄県)

 

アンケート調査は717日~21日に実施し、「その中から、『感染が収まれば旅行を検討したい』と回答した3147人に観光で行きたい都道府県(複数回答可)を尋ね、その割合をランキング化」した結果らしい。

 

ランキングの結果としては、北海道(34.1%)、沖縄県(25.3%)、京都府(18.9%)の上位3つが抜け出ていたということだった。そして4位は大阪府(9.9%)だった。

 

 

 

これはこれで、あまりにも〝さもありなん〟という結果のように思える。国内旅行と言えば、いつの場合にもこういう結果になるのだと思う。観光地調査と同じようなものだから。

 

 

(保津川下りと桜/京都・嵐山)

 

一方で、下位グループは埼玉県(1.9%)、佐賀県(2.2%)、奈良県(2.3%)、茨城県(2.3%)、滋賀県(2.5%)となっていた。

 

 

 

ここで驚いたのは、奈良県がなんと45位という順位になっていたことだ。京都と大阪が34位になっているから、〝ワンセット〟として奈良県も着いてきそうなものだ。それが最下位争いに入っている。

 

 

ということは京都か大阪に旅行に行けば、ついでに奈良や滋賀も回ろうと思えば行けるから、あえて回答の対象にはならないということだろうか。そうとしか思えない。

 

後は、この間頑張って宣伝に努めていた鳥取県が、残念ながら39位(3.3%)になっていたことぐらいだろうか。

 

 

 

上位にはやはり長野県(5位、8.8%)や静岡県(6位、8.3%)、神奈川県(7位、7.8%)、石川県(8位、7.8%)、福岡県(9位、7.8%)と、ある意味で常連の観光県が挙げられていた。

 

 

(北アルプス遠景/長野県)

 

それ以上に、「感染が収束すれば旅行に行きたい」という旅行意欲の高い人は、全体のアンケート回答者1万人余りの中で3千人余りだったということの方が問題だろう。

 

70%の人々は、たとえコロナ禍が収束しても、旅行に出掛けたいという意欲をあまり感じていないということの方が、むしろ現在の心理状況を表わしていると思う。

 

このあたりの状況について、記事では〝どんなことに不安を感じるか〟という質問への回答結果についても触れられていた。

 

それによると、「旅行への意欲を持っている人は『(自分が移動することで)感染拡大につながらないか』(52.9%)、『自分が感染しないか』(46.1%)、『感染防止策がされているか』(32.5%)の順で不安を感じている」ということだった。

 

一方で、「感染が収まれば検討したい人は『自分が感染しないか』(79.9%)、『感染拡大につながらないか』(76.5%)、『感染防止策がされているか』(48.7%)の順で不安を抱えており、その割合は旅行への意欲がある人と比べても圧倒的に高かった」となっていた。

 

やはり人々の心理が、強く萎縮していることがわかる結果だった。こんな状況では、仮に何かの形でコロナ終息宣言などが出されたとしても、〝ハイ、そうですか〟と人々が活発に活動を始めることにはならないだろう。

 

それこそ多くの人が〝石橋をハンマーで叩いても、なかなか渡ろうとしない〟くらい、強く不安を抱えたままの心理状態になっていることがうかがえる結果だった。

 

だからこそ、「今回のGoToキャンペーンは、旅行代理店などが用意するツアーを除き、日帰り旅行は対象になっていない」けれど、これは「消費者のニーズにも受け入れ側の不安にも応えられていない」と記事でも指摘していた。

 

それが消費者の本音なのだと思う。だから記事は最後に、「消費者と受け入れ側の心理を理解し、地域活性化につなげる施策こそGoToキャンペーンには必要だったのではないだろうか」と結ばれていた。

 

これを見て、旅行意欲の高い人が3割ほどは存在したと捉えるか、7割の人は旅行に不安を持っていると考えるかは、調査結果を見た人それぞれの考えだと思う。

 

だけど私は、不安を持っている7割の人が動こうと思うまでには、相当の時間が必要だろうと思う。特に高齢者で、旅行に費やす時間に余裕のある人が、この状態で動き回ることには慎重になるだろう。

 

ということは、〝近場の観光〟や〝日帰りの旅〟といったテーマが、しばらくは重要になってくると思われる。そこに焦点を当てた旅の企画が、これからのポイントのように思われる記事内容だった。