マイクロツーリズムという視点 | がいちのぶろぐ

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環境問題と経営の接点、中小企業の戦略やマーケティング活動,
観光・伝統産業関連などについて、「がいち」が考えたこと、思ったことを書きとめてゆきます。

時おりこのブログで取り上げている、経営誌「理念と経営」の6月号が送られてきた。今号の巻頭特別企画は、「朝の来ない夜はない」と題されていた。

 

 

 

このコロナ騒動がいわば「夜」であるとすれば、必ず「夜明け」はやって来る。その時を目指して経営を考えていこうという企画だった。

 

その企画で星野リゾート代表の星野佳路氏が、「今こそ観光産業を変える大きなチャンスだ!」と題して、「インバウンド激減の今、国内観光に目を向ける」という話をされていた。

 

大阪・京都・兵庫に出されている緊急事態宣言も、明日には解除される見通しとなっている。これからは、第2波、第3波の感染拡大に注意しながらも、生活はゆっくりと旧に復して行くだろう。

 

だがこの数年間急増を続けていた外国人観光客が、これまでと同様に日本へ来ることは当分の間は考えにくい。

 

そんな中で星野氏は、「観光事業は近くから戻ってくる」と言われる。「私が言う『マイクロツーリズム』、すなわち15分や30分、1時間圏内の旅行」だという。

 

 

 

「これは地域の人たちがその地域の魅力を再発見する、とても良い機会」になると考えている。

 

「外国人を受け入れる側の私たちが自分の地域の魅力にあまり詳しくない」ことが、「観光力の弱さだと指摘されて」いたけれど、「これを変えることができる」というのだ。

 

「マイクロツーリズム」で出会いが生まれ、そこから「地域のネットワークが生まれると、地域の人が地域の魅力を知ることができ」、それが「次のコラボレーションにつながる」ことになる。

 

「マイクロツーリズム」から生まれる「地域のネットワーク」によって、コロナ騒動が収束した後の「日本の観光は以前より強くなっている可能性」があると指摘されていた。

 

これまでは、ともすれば外国人観光客の急増に目が行きがちだったけれど、「日本の観光市場の80%は日本人による観光」なのだから。

 

そして2025年以降、団塊の世代は後期高齢者になるが、「そのときまでに、その肩代わりをする若い世代の旅行需要」を作りだすことが、外国人観光客対応よりも重要だと述べておられた。

 

これは卓見だと思う。外国人観光客であふれ返る状態は、確かに〝派手〟で目立つ。だが、やはり大きな顧客層は国内旅行客であることは間違いない。

 

それとともに、国内の旅行客は外国人観光客とは異なり、当たり前だが国内旅行で〝異国情緒〟は求めない。そこには、外国人観光客とはおのずから異なった〝ニーズ〟がある。

 

星野氏は団塊世代の次に来る世代の旅行需要に対して、「地域の人が地域の魅力を知る」ところから、こうした旅行客の掘り起しを考えているのではないだろうか。

 

見物をする旅でもなければ、温泉が目当ての旅でもなく、〝地域が持っている魅力〟を知る旅と言ってもいいだろう。それをアピールできるかどうか、ということのように思えた。

 

これからしばらくは、県境をまたぐ旅はまだ難しいかもしれない。だからこそ「マイクロツーリズム」として、1時間圏ほどの範囲で新たな魅力を発見する旅、ということがあってもいいだろう。

 

星野氏が示されたこの「マイクロツーリズム」から出発する視点は、これからの時代の一つのあり方を示しているように思えた。

 

いつもながら、この「理念と経営」誌には考えるヒントが多く含まれている。書店ではほとんど扱われていない雑誌なので、以下に見本誌の申し込み先を掲げておくので、お気に召したらお申し込みを。

 

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