東京マラソンは高速レースだった | がいちのぶろぐ

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今朝行われた東京マラソンは、大迫傑選手が9月のMGC(マラソン・グランドチャンピオン・レース)での代表決定を逃したが、その雪辱を日本記録を更新して果たした。

 

ゴールの瞬間は、東京駅のクラシックな建物を背景に、雄叫びを上げガッツポーズをしながらだった。心の底からうれしかったのだろう、その後のインタビューでも涙で声を詰まらせていた。

 

 

 

日本記録保持者として臨んだMGCでまさかの3位になった時のことを、今日のレース後のインタビューで聞かれると、「苦しかった」とその時の気持ちを述べていた。

 

 

 

将来の大器と言われ続け、大学卒業後は実業団チームには所属せずに、練習拠点をアメリカに置いてNIKEのチームに所属した。

 

その後は、2018年に日本記録を更新して、一躍、東京五輪のホープと言われるようになった。しかしMGCでは代表権を獲得できず、今日のレースに賭けてきた。

 

 

 

そして今日、2時間5分29秒で自己の持つ日本記録を21秒更新した。しかし、今日の順位はエチオピアのレゲセ選手などに遅れて4位だった。

 

一時はトップから引き離され、30kmから35kmの最も苦しいところを何とかスピードをあげて4位に入ったのだが、冷静に考えればトップとは1分半近く離されていたことになる。

 

トップになったレゲセ選手は、世界歴代3位となる2時間3分台の記録を持つ有力選手で、今日も4分台の初めでのゴールだった。

 

つまりマラソンで世界と戦うには、少なくとも2時間3分台でないと勝負にはならないということだ。今日はコンディションもよく、前半からペースメーカーが2時間5分台のペースで引っ張った。

 

だから大迫選手に敗れたとはいえ、前・日本記録保持者の設楽選手など多くの日本人選手が、6分~7分台でゴールするという過去に例のない高速レースになった。

 

 

 

今日、大迫選手はNIKE製の話題の「新型厚底シューズ」を履いていたし、多くの選手も厚底シューズだった。用具の進歩が、記録の大幅な向上につながっていることは間違いない。

 

これでNIKE製の厚底シューズでないと、これからしばらくは、マラソンで勝てないということも証明されたことになる。

 

箱根駅伝の際にも、ピンクのNIKE製の厚底シューズを履いた選手が、区間記録を次々に塗りかえていた。これほど明確な違いがあるのも凄いことだ。

 

ただ、国際陸連がこのシューズを認めた以上、これからはこの靴を履いたか履かないかではなく、全員が履くことを前提にした高速レースへの対応が要求されることになる。

 

先日オーストリアで非公認で行われた、2時間切りにチャレンジする特設レースでは、リオ五輪の金メダリストで世界記録保持者のキプチョゲ選手(ケニヤ)が、1時間59分台の記録を出すことに成功している。

 

だから大迫選手でも、東京五輪では8位入賞さえ難しいくらいかもしれない。エチオピアやケニヤには、この大迫選手クラス以上の選手が何人もいるのだから。

 

世界を相手に戦うとは、こういうことなのだ。陸上競技でも、プロとして走っている選手が大勢いる。今やスポーツ競技全般が、プロ選手による見せるためのコンテンツ化という流れが止まらない。

 

大迫選手もこれが自身で2度目となる、日本記録達成の「賞金1億円」獲得ランナーになった。だからこそ、選手は生活のすべてを競技に打ち込むことを余儀なくされている。

 

私たちはこうした競技を観戦する、つまり「見せるスポーツ」というコンテンツを楽しんでいる。野球やサッカー、それにワールドカップで湧いたラグビーだけでなく、全てのスポーツ競技がコンテンツになった。

 

そんな中、スピードスケ―トという比較的地味な競技で、平昌五輪で大活躍した高木美帆選手が、一昨年の世界オールラウンド選手権(短距離から長距離まで)の総合優勝に続いて、先日は世界スプリント選手権(500m1000mを2回ずつ滑る)でも総合優勝した。

 

 

 

500mの女王・小平奈緒選手が、昨年の世界スプリント選手権の総合優勝だったが、今年は高木選手に敗れて総合2位だった。それにしても日本人選手がワン・ツーフィニッシュだった。

 

スピードスケートでは、多くの選手が大学か実業団に所属してはいるけれど、実業団の選手の場合は、実質的にはプロとしてほぼ1年中を練習時間に当てている。

 

こうしてプロ選手たちが活躍してくれることで、私たちは映像を通して、また競技の現場へ出かけて「見るスポーツ」を楽しむことができる。

 

夏の東京オリンピック・パラリンピックが開催できるかどうかは、新型コロナウィルス騒動が終息するか否かにかかっている。

 

今日の東京マラソンも3万8千人に上る一般参加は見送られ、沿道でも応援しないように求められていた。だがテレビ画面を見ていると、沿道には大勢の観客が出て選手たちを応援していた。

 

それはそうだろう。こんなに盛り上がる場面を見ることができるなら、それを見逃す手はないというのが、多くの人の心理だっただろう。そして選手たちも期待に応えて、精一杯のパフォーマンスを見せてくれた。

 

3月がスタートしたが、明日からは全国で小・中・高校の休校措置が行われるかどうか、という重苦しい空気になっている。千葉都民の私の娘のところでは、すでに休校措置が始まっている。

 

そんな中でも、こうして選手たちが元気な姿を見せてくれるのは、本当にありがたいことだ。

 

私も今日は、予定されていた「自主防災訓練」が2週間前に、早々と中止が決まり、この先も、さらにいくつか予定されていたイベントなどが〝中止〟という連絡が入っている。

 

昨日は3月の予定をカレンダーに書き写す時に、すでに記入していた手帳に×印の並ぶ様子を見て、少しため息が漏れる気持ちだった。