ウィルス騒動を客層転換の好機と捉えて | がいちのぶろぐ

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中国の「春節」の大型連休は、コロナウィルスの騒動で観光関連は空振りに終わった。それどころか、クルーズ船の感染問題は、まだ先が見えない状態だ。

 

そこへ持ってきて、各地の飲泉地などでは中国人観光客との同宿を嫌って、日本人客のキャンセルも相次いでいると聞く。まさに、〝踏んだり蹴ったり″の状態になっている。

 

あと1カ月も経てば、春の行楽シーズンが幕を開けるが、まだまだ暗雲が垂れ込めたままで、観光地などではやきもきしていることだろう。

 

 

 

春の観光客を当て込んで、臨時の従業員を早めに確保し、教育もしたいけれど、この騒ぎが収まらなければ、結果的にコスト増になるだけという恐れもある。

 

今回ほど、経営という意味で厄介な状況も滅多にないだろう。3年後の見通しなどではなく、明日が読めないということだから。

 

そうは言っても、少し冷静になって考えれば、国内でウィルスに感染した人の数はきわめて少数だ。中毒から帰国した人や、その人と〝農耕接触″したと思われる人が数名だけ感染した、というのが国内での本当の実態なのだ。

 

だからまず国内の観光客には、旅館などでもこうした事実を正確に発信して、安心して来てもらえるように訴えるべきだろう。

 

中国から大量に滞日していた観光客は、しばらく回復しないと思われるが、何よりも、欧米や東南アジアからの観光客までが、日本離れをしてしまうことを防がないといけない。

 

だからこそ、英語での情報発信や、東南アジア請けの言語での発信を行うという努力が強く求められる。今まで、韓国・中国頼みで、情報発信が偏っていた傾向もある。

 

ここはあらためて、タイやマレーシア、インドネシアなどに対して、行政と観光関連業業界が協力して、それぞれの言葉に翻訳した情報を発信すべきだろう。

 

むしろ、そのための良い機会なのだ。かつて製造業で、「親亀こけたら」と皮肉を言われた時期があった。特定の企業からの受注が、大半を占める場合の怖さを指していた。

 

この間、右肩上がりになっていた観光関連業界で、今こそこの言葉が出た時期の製造業の事例を思い出す時だ。だから、客先の多様化を図る必要がある。

 

その一方で、マレーシアやインドネシアはイスラム教国である。ムスリム‘イスラム教徒)の人たちには、宗教上の戒律が多い。

 

飲酒はダメだし、豚肉を食べないだけでなく、豚肉の調理に使った包丁や鍋といった調理器具も使えない。大浴場など、人前で裸になることも本本来NGなのだ。

 

イスラム教徒に食事を提供できる証明として、「ハラル認証」という制度がある。ただこの認証は、普通の旅館や飲食店にとっては、とてもハードルが高い。

 

 

 

それでも、認証こそとっていないけれど、ハラル認証機関と相談して、指導を受けるくらいのことはできる。地域の旅館組合や飲食店組合などで、マニュアルを作成して講習し、それを情報発信すれば、こうした国からの観光客にも喜ばれる。

 

今が客層拡大のチャンスだと前向きにとらえて、この際、大きく考え方を変えてみてはどうだろうか。そのくらいポジティブにならないと、暗い顔をしていては何も解決しない。

 

「人生万事塞翁(さいおう)が馬」ということわざもある。悪いことは良いことの〝前兆″だと思って、頭を切り替えてはどうだろう。