非常時のインバウンドへの対応は | がいちのぶろぐ

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台風が去って夜が明けた。昨夜から大雨による河川の氾濫が各地で相次いでいたが、徐々に被害の全容が明らかになってきた。

 

暴風の被害もあっただろうが、今回は特に雨台風となって、関東一円から長野県にかけて集中豪雨が降り、ダムの貯水量が急激に増えて、多くのダムで緊急放流も行われた。

 

今なお洪水によって孤立している老人施設もあるし、やはり停電や断水など、ライフラインが断たれている人も多い。

 

これだけ早くから進路予想など、細かい情報が伝えられるようになり、事前の対応が可能になっても、いったん台風が襲来すれば、やはり想定外のことが次々と起こって来る。

 

 

3連休初日の土曜日に当たっていて、早々と計画運休も発表されていたから、電車が止まって大混乱になるということはなかったが、それでも仕事を休めない人は、大変だっただろう。

 

一刻も早く孤立が解消され、ライフラインも復旧して、日常生活に戻れますようにと願うばかりだ。被災された方々には、心からお見舞いを申し上げたい。

 

ところで昨夜のニュース番組で、少し変わった視点からの台風関連のニュースが流されていた。東京都内で、外国人観光客がやっと営業しているラーメン店を見つけて、夕食を食べている光景だった。

 

インタビューに、屈託なく「ラーメン・アンド・ギョーザ」と答える若い女性がいたり、やや高齢の男性は「営業している店を、やっと見つけられた」などと話していた。

 

 

 

昨夜は東京都心部などでは、電車がストップしているから従業員が確保できず、コンビニですら営業を早く打ち切ったりしていた。

 

こんな場合でも、ホテルや旅館ならまだ何とか夕食の準備ができるが、ビジネスホテルやゲストハウスなどといった、食事の用意ができない宿泊施設の場合は、“食事難民゛が発生する。

 

だからニュースで流されたように、たまたま営業していた飲食店では、外国人観光客が溢れる事態になっていた。

 

これがもし日本人が宿泊している場合であれば、午前中など、まだ営業している店がある段階で、どこかに駆けつけて、食料や飲料を買っておくだろう。

 

外国人観光客の場合には、そうした情報が伝わり難い可能性が考えられる。だから、危うく夕食を食べられなくなるところだったかも知れない。

 

こんな時でも、ビジネスホテルであれば従業員が常駐しているから、宿泊客に事情を説明し、食料や飲料のの準備を促すこともできる。

 

だが、チェックインとチェックアウトの時だけ客と従業員が顔を合わせる、という運営スタイルのゲストハウスなどであれば、こうした非常時に細部にわたる注ま事項は伝える手段がないかもしれない。

 

 

 

もちろん、台風のように事前に予想ができる災害時には、宿泊施設内に注意事項を掲示することは不可能ではないだろう。

 

しかし現実の問題として、どれほどの簡易宿所などで、宿泊客である外国人観光客に対して、こうした細かい配慮をしているだろうかと、ニュースを見ながらとても気になった。

 

「台風が東京方面にやって来る」くらいの情報は、スマートフォンなどで入手できても、交通機関の計画運休や、ましてや食料の確保の問題などは、情報が少なくなるだろう。

 

それも"世界の大都会゛である東京のど真ん中であれば、まさか店が全て締まってしまうことなど、日本に不慣れな外国人には想像できないかも知れない。

 

私たちは、日本が「おもてなし」の精神に満ち溢れていると思っているけれど、笑顔で丁寧に接客するだけではなく、非常時・災害時などに顧客に対してきめ細かい注意を払うことは、どこまでできているだろう。

 

相手が困る前に、困らないように注意を払うこと。それこそが、本当の「おもてなし」の心だと思う。

 

従業員の足が確保できないから、都心部ではやむを得ず店が閉まってしまうことなどは、大都市の中心部の家賃が高いことに起因している。「職住近接」ではないということだ。

 

そこまで理解している外国人観光客は、決して多くないと思う。だからこそ災害時には、早めに食料や飲料を確保するように注意を促すことは、大事な「おもてなし」だろう。

 

昨夜のニュースは、単にエピソードとしてではなく、観光関連産業にとっては重要な教訓だと思って、自分のところではどうするか、具体的な対応策を立ててほしいと思った。