石垣島で日本人客お断り | がいちのぶろぐ

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沖縄県石垣市。石垣島と言えば、言わずと知れた人気のリゾートアイランドである。そこで今、ちょっとした騒動というか、話題が持ち上がっているらしい。

 

 

 

石垣島にある席数8席の小さなラーメン店が、店頭に「日本人客お断り」という張り紙を出している、というのだ。先日、どこかのテレビ局のニュースで取り上げていた。

 

そのニュースで、インタビューに答えて、店主が「こんな小さな店に、数人連れの観光客が来て、1人だけラーメンを注文し、残りはコンビニで買った食べ物を持ち込んで、注文をしないことがよくあるから」と話していた。

 

そのニュースを見た時は、〝そんなひどいことをするなんて″と思ったが、その時はそれで終わっていた。

 

ところが、数日前に配信されていたダイヤモンド・オンライン誌でも、この話題が取り上げられていた。その記事では、インターネット上に、「あの店は、対応が悪かったから」などという、店を責める書き込みがあったことも紹介されていた。

 

 

 

たしかに、立場を変えてみればお互いに言い分はあるだろう。だが、席数8席の小さな店である。数人がそこで〝たむろ″するだけで、店の雰囲気は一気に変わってしまう。

 

つまり、店側の対応が悪かったから、その意趣返しとして観光客が嫌がらせをしているのだとしたら、これは明らかに威力業務妨害に当たる行為だ。

 

最近は、何かの拍子に自分の気に入らないことがあった店に対して、インターネット上で容赦なく非難する、いわゆる「炎上騒ぎ」が起こる。

 

それはそれで、店側にとってうれしいことではないけれど、こうした書き込みは止めようもない。だけど、実力行使をする痛がらせ、ということではない。

 

しかし数人連れで来て、ラーメンを1杯だけ注文して、店のスペースを奪い取るのは明らかに質が違う。だが、そんなことをするのはごく一部の人間だけだから、一律に「日本人客お断り」というのは行き過ぎだ、という意見もあるだろう。

 

それもわかる。だが、よくよくのことがあっての決断だと思う。日本人客を閉め出して、店側が得をするわけはないのだから。

 

石垣市は人口5万人ほどの町だが、ご存知の通り、このところはブームと言っても良いほど観光客が増えて、年間では130万人以上が訪れる、美しい海と自然に囲まれた、大人気のリゾート地だ。

 

 

 

だから、その中にはマナーの悪い人間もいるだろう、ということになる。それを日本人客は全て閉め出すなんて、という意見ももっともらしく聞こえるが、石垣島の外国人観光客はまだ多くない。

 

そんな中で、日本人客を閉め出すことは、店側には何のメリットもないけれど、そうしないといけないほど、店主が精神的にダメージを受けているのだ。こうしたトラブルが続いたので、従業員も辞めてしまったらしい。

 

日本人は「おもてなし」上手のように言われ、さらに、サッカーのワールドカップの際には、サポーターがスタンドを清掃して帰るという話が、美談として世界に発信された。

 

それも日本人であり、石垣島のラーメン店に来た観光客も日本人なのである。人間は全員が良い人でもなければ、一人一人の人間も色々な顔を持っている。

 

この騒動は、いずれ何らかの決着も付くだろうと思うけれど、東京・渋谷のハロウィーンの翌朝に、ごみを拾い清掃をしている人たちも、そのごみをところ構わず投げ捨てた人も、そのほとんどが日本人なのである。

 

自分はどちら側の人間かというのではなく、その時々に、どちら側の人間にもなり得るのが、人間の〝さが″なのだ。ただ、それを自覚する度合いには、多少は差があるかもしれないけれど。

 

どうであれ、この石垣島のラーメン店の店主は気の毒だと思う。ダイヤモンド・オンライン誌でも、「観光公害」という言葉を使っていた。

 

同じ「観光公害」という言葉でも、京都の祇園で歩いている舞妓さんを撮影しようと、無茶をするのは外国人観光客である。だから、「観光客のマナー問題」と言えば、すぐに外国人観光客となるけれど、決してそんなことはない。

 

 

 

少し前まで、花見に行って桜の枝を折る日本人もいた。今も、花見の宴で酔っぱらった挙げ句に、喧嘩を始める日本人もいる。

 

外国人も日本人も、みんな人間だという見方をすれば、人間がやることに大した違いはない、ということだろう。だからと言って、営業を妨害する行為は、誰であっても許されることではない。

 

「観光公害」と言うのであれば、特定の観光地が、観光客があまりにも過剰になり過ぎたために、観光客も、そこで商売や生活をする人も、いずれもが不便になり、不愉快に感じるという「オーバーツーリズム」の状態が、それに当たると思う。

 

 

 

個々の観光客が何の迷惑行為をするでもなく、ただただ過剰に人が集まってしまった結果起こること、ということであれば、確かに「公害」と呼ぶに値するだろう。

 

しかし、単に個々の人間の行いのせいで、他人に迷惑がかかるというのであれば、それを「公害」と呼ぶのはおかしいと思う。

 

私自身は、〝瞬間湯沸し器″ですぐにカッとなってしまう性質かどうか、自分では判断できないけれど、せめて他人様に迷惑を掛けないようには、常に意識していたいと思う。