狭き区も 歴史が磨く 底力  | がいちのぶろぐ

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昨日のブログで、「上京大文化祭」が行われているので行ってみようと思う、と書いておいた。それで、今日の午前中に見物に出掛けた。

 

 

 

会場は、学問の神様・菅原道真公をお祀りしている「北野天満宮」。梅苑と「御土居の紅葉」が有名だが、今は「青もみじ」が見頃になっている。

 

 

 

その「北野の天神さん」で、「上京区文化振興会」などが主催して、「現代の技展」上京の料理店」「北野の大茶会」「花舞台」というイベントが行われていた。大茶会は昨日のみで、花舞台は今日だけ、ということだった。

 

私は「現代の技展」に興味があったので、まずはこれを観ようと思って出掛けた。この展示はサブタイトルが「上京の奇跡」となっていた。

 

 

 

数日前にこのブログで、京都市上京区という地域自体が、確かに「奇跡」と呼ぶにふさわしい場所であることを書いた。

 

平安遷都が行われた時に、最初に内裏(御所)が置かれたのが、上京区の千本今出川から南側の一帯であり、御所が現在の地に移転したが、これも行政区的には上京区になる。

 

 

(内裏「大極殿」跡に立つ石碑)

 

我が家からすれば、鴨川を隔てた川向こうが上京区という位置関係になる。それで向こう側は「洛中」であり、我が家のある場所は「洛外」の鄙(ひな)、すなわち都からすれば片田舎ということになる。

 

今日の北野天満宮は、そうは言っても梅花の時期でもなく、紅葉の時期でもないから、それほどの人出というわけではなかった。

 

ただ、この大文化祭が行われている境内の一角だけは、大勢の人が来られていた。上京区内にある有名な料理店が出品している、「上京の料理店」というコーナーは、〝売り切れ御免″ということで、チケット購入のための長い行列ができていた。

 

 

 

有職料理の「萬亀楼」や、すっぽん料理の「大市」、天ぷらの「天㐂」など、何度も聞いたことがある名前が並んでいた。私はそれが目的ではないので、もちろん素通りをしたけれど、少しだけ残念かも。

 

ということで、天満宮の「文道会館」という施設で、「現代の技展」が行われていたが、この展示全体のプロデュースは、上京区文化振興会のトップを務めている、「冷泉家(れいぜいけ)時雨亭文庫」の冷泉貴美子氏だった。

 

 

 

これだけでもすごいと思う。冷泉家と言えば、あの歌聖・藤原定家の末裔なのだから。そして出展されていたのも、楽焼として知られる茶道の茶碗の第15代樂吉左衛門氏や、写真家の水野克比古氏、竹工芸の黒田正玄氏などなど。

 

和菓子の老舗「鶴屋吉信」も、大輪の花をかたどった1m以上もある工芸菓子を展示していた。考えてみれば、茶道の家元である表千家、裏千家、官休庵は、全て上京区内に存在している。

 

さらに、金糸をぜいたくに織り込んだ西陣織の精緻な帯なども展示されていた。残念ながら、会場内は撮影禁止だった。それにしても、人間国宝級の方々の作品が、ずらりと並んでいた。

 

何とも、ぜいたくの極みのような展示だった。確かに「上京の奇跡」に違いない。比較的狭い行政区域の中に住んでいるか、そこで活動をしている人たちだけの作品展なのである。それがこのレベルということ自体が、確かに奇跡と言われてもわかる気がする。

 

「現代の技展」を見終わって、料理店コーナーの方へ行ってみると。何やら人だかりがしていた。何と余興に「猿回し」が行われていた。それも見覚えがあるコンビだ。

 

 

 

昨年、「梅酒まつり」がこの北野天満宮で開催された時にも、この猿回しのお兄さんとお猿の「らんまる」君のコンビを見た。

 

なんだか、北野の天神さんの余興係のように思えて、少し笑ってしまった。しばらく見物していたが、出し物も昨年とだいたい同じ。少し違ったのは「ハイジャンプ」を行ったことだろうか。

 

 

 

最初は地面から30cmほどの高さのバーを飛び越えた。これは足慣らし程度のご愛嬌。次はお兄さんと軽妙なやり取り(?)をしながら、バーの高さが一気に「らんまる」君の背丈より20cmあまりも高くなった。

 

170cmの人間が、2m以上の高さに設定されたバーめがけて、ハイジャンプを跳ぶくらいの感覚だろうか。ただし、ハイジャンプは片足で踏み切るルールだけど、「らんまる」君は4足全部で踏み切ったけれど。

 

 

見事にこのバーをクリアした時は、見物から大拍手が起こった。ただ、今日の「らんまる」君は少しご機嫌斜めだったみたいで、お兄さんの言うことを時々無視したり、そっぽを向いたりして、お兄さんに抱きかかえられていた。

 

 

 

こんなことで、「花舞台」は午前の部は終わってしまっていて、午後は1時からということだったので、あきらめて帰宅した。

 

それにしても、「技展」も「料理店」にしても、一つの狭い行政区の中で出展者を集めるだけで、これだけのことができるという「懐の深さ」に感じ入った。

 

 

 

歴史とは、それ自体が何かを生み出す力を持っている。そのこと自体が〝恐るべきこと″なのだろう。

 

「らんまる」君が、〝連休に仕事かよ″と言わんばかりに、少しぐずったのはご愛嬌だったけれど、お兄さんもきっとたんまりと〝おひねり″を獲得できただろう。