空き家で 新しきこと 創り出す | がいちのぶろぐ

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空き家を活用して何かを始めたいと思えば、見つけた空家の所有者と直接話し合いをすると、時にはとんとん拍子に話が進むこともあるかもしれない。そんな夢のような話も、無いことではない、という話しを聞いた夜だった。

 

昨日は午後から、お手伝いをしている高校の「総合学習」に出掛けていた。総合学習も、いよいよ終盤にかかってきた。5つのグループはいずれも、大体の骨格は出来上がってきたようで、昨日はそれぞれが詰めのディスカッションになっていた。

 

来週の金曜日は、紅葉が真っ盛りで、大変な人出が予想される嵯峨・嵐山に出向いて、多分これが最後となる「フィールドワーク」を行う予定になっている。そこで、それぞれのグループが考えて来たストーリーの最終的な検証を行うことになる。

 

まあ、高校生だし、制服も着ているので、そんなに無茶はしないだろうと思うけれど、私たちサポート・メンバーの目が行き届くような状態では、とてものことながら有り得ないだろう。特に外国人観光客に対して、仮説検証のためのアンケートを試みようとしているグループは、人混みの中でのインタビューが大変なことだろうと思う。頑張ってくださいね。

 

(9月に行ったフィールドワークの様子)

 

そして昨夜は、京都市の〝みんなごと″のまちづくり推進事業の「活動進化プログラム~公開講座 第4回」に、8月に開催された第1回公開講座以来となる参加をした。

 

 

 

昨夜のテーマは、「空き家の利活用~とことんトーク」ということで、実際に空き家を借り受けて、様々なことにチャレンジされている方が3人登壇され、体験談を披露された。

 

駐車スペースとなっていた部分を事務所用に借り受けようとしたけれど、その立地が景観も良く、商店街や観光スポットにも近かったので、いっそのことと思って、大家さんと交渉して内装をカフェに改装して開業してしまった、という方もおられた。

 

 

 

また、京都市に編入されたけれど、今もなお〝京都の田舎″には違いない山間の集落で、ボロボロだった茅葺の古民家を借り受け、そこを地域の情報発信と生産物の販売拠点であり、かつ「お試し移住」のための宿舎としても利用できるように、同時進行でリノベーションをしながら、活動を開始している方もおられた。

 

この方の話では、全体のリノベーション費用は、〝まともに″見積もれば1,500万円ほどもかかりそうなところを、「人が人を呼んで」手伝ってくれるプロの方が現れたりして、それでも500万円ほど掛かりそうだということだった。

 

また、京都の市街地で、割合に広い空間地と長屋を借り受けて、〝学びの場″と〝プロジェクトや制作の拠点″として活用し、その場所を使ってすでに数々のイベントを行っておられる方もおられた。

 

 

 

三者三様ではあるけれど、それぞれの話の中で共通項だと思われたのが、大家さんというか所有者との対話だった。自分の考えを説明したり、お互いの条件などを話し合ったりしているうちに、所有者側が納得してくれて、それぞれの活用方法を認めるようになったということだった。

 

全国どこでも自治体の頭痛の種である「空き家」問題は、京都市でも生じており、京都市はすでに「空き家条例」を制定しているし、「市民しんぶん」でも特集を組んで、空き家解消のための情報発信を行っている。

 

 

 

ただ、その空き家の所有者が、例えば自分が生まれ育ち、両親が住んでいた家だけれど、自分は現在、遠隔地で暮らしていて、その建物を処分することもできずに放置している、というケースも少なくない。そこを売却するのも気が進まないし、といってただ固定資産税を払い続けるだけというのもどうかと思っている。

 

京都市ならまだしも、人口流出が続く地域に両親の家があるケースなどでは、解体して更地にしても売れる見込みもなく、売れても解体費の方が高くつくことだってある。

 

京都市でも、中心市街地や観光スポットに近ければまだ何とかなるけれど、それ以外の市街地で敷地もさほど広くもなく、前面の道路幅も京都特有の狭い道であれば、マンション用地としての需要もなく、その割に路線価などはそこそこ高いために、売るに売れないということも有り得る。我が家の周りにも、そうして売れ残っている空地が目立ってきた。

 

 

 

とまあ、「いずこも同じ秋の夕暮れ」状態になっている。そんな時に、意欲のある人たちがこうした新しい活用方法を引っ提げて現れたなら、所有者にしても乗れない話ではない、ということらしい。

 

だから、昨夜の3人の登壇者の話でも、所有者と直接話ができる機会があれば、交渉によって、自分たちにも利用可能な条件を創り出すことも不可能ではない、ということのようだった。

 

その後、会場から出た質問をきっかけに、その質問に対する〝回答″を、会場の参加者が45人で一つのグループを作って即席のワークショップを行い、そこで得られた内容を発表し合うという形式が採られた。

 

この推進事業のプロジェクト全体を取り仕切っている、〝まちとしごと総合研究所″の東信史氏のファシリテーションで、30名余りの参加者が即席のワークショップに挑んだが、短時間ではあったけれど、かなり面白い回答集が集まったのではないかと思う。

 

 

 

それにしても、夜7時開始で3時間近くにも及ぶ講座だったけれど、ダレも間延びもない、充実した内容だったし、面白い内容だった。

 

偶然にも、私の席の周りには、自身がそうした空き家の所有者だという若い方が複数おられて、まさに「他人事」ではない「自分ごと」として話されていたのが印象的だった。

 

またいつもながら、この講座の「グラフィック・レコーディング」を担当されている〝鈴木さよ″さんの「模造紙上のマジック」も見事だった。終了後にお話ししたところ、この「グラフィック・レコーディング」のプロとして、お仕事を退職して独立されたそうである。

 

 

 

会議や講座、講演会などでの、グラフィック・レコーディングの依頼のご希望などは、フェイスブックのsayo suzukiで検索してみてください。名刺交換はしましたが、ご本人の了解が取れていないので、個人情報は掲載しませんので。

 

午後の高校の「総合学習」から、夜の空き家の利活用まで、振れ幅は広いけれど面白い一日だったと思う。