ミスがある それが人間 ご安全に | がいちのぶろぐ

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昨夜のテレビ番組で、少し興味深い番組があった。もともと私はテレビ爺で、テレビ番組は良く見る方だと思う。それもゴールデンだけでなく、深夜時間帯の番組を録画してでも見るタイプである。

 

もっともドラマは滅多に見ない。一時期は水谷豊さんの「相棒」シリーズにはまっていた時もあったが、それ以外のドラマはどんなに話題になっていても、まず見たいと思わない。新垣結衣さんと星野源さんの話題作「逃げ恥」も、連ドラの終わり掛けになってから、“恋ダンス”の部分を少し見ただけである。

 

反対にお笑い番組やバラエティは大好きで、きわめてよく見ている。

ということで、昨夜の番組の話だが、夜11時17分からの時間帯に、朝日放送(大阪)が制作している「雨上がり Aさんの話」というバラエティ番組である。

 

タイトル通り、司会は雨上がり決死隊の宮迫・蛍原のお二人、レギュラーに海原やすよ・ともこさんとケンドーコバヤシさん、レポーターに昨夜はロザンの宇治原さんとモンスターエンジンの中林・西口のお二人、という出演者だった。

 

この放送時間枠は、金曜日には、かつての「お化け番組」の「探偵ナイトスクープ」が今も放送されている。また、過去には「クイズ紳助くん」や「ごきげんブランニュー」など、この時間帯の人気番組もあった。

 

そこで、「雨上がり Aさんの話」は、ある話題をレポーター役のタレントが「事情通」の方に聞いてレポートするという内容の番組で、取材に応じている事情通のことを「Aさん」と表現しているのである。

 

これは、その時のテーマとなる話題の内容によっては、複数の説があったり、定説と呼べるものが無かったり、なかには事情通として取材に応じた方の個人的な意見だったりもするわけで、だから、それをレポートするタレントに対して、司会者や他のレギュラーメンバーが突っ込む、というスタイルで展開されていく。

 

昨夜の最初の話題は、ロザンの宇治原さんがレポートする「ミスの発生原因」ということだった。仕事上のミス、日常生活のミスなど、私たちの生活にミスは付き物である。それを少し分析的に考えるということだった。

 

バラエティ番組だから、そこは番組構成上の工夫が凝らされているので、最初に司会の二人とレギュラーの三人に宇治原さんが質問をして、それぞれの解答から「あなたはどのタイプのミスをする人間か」を判定する。

 

それから、そのミスの内容の説明と、ミスを減らすための対処法を説明して終わる、という流れになっていた。バラエティ番組としてみれば、昨夜のこの部分は、割合に「お固い」番組になっていた。まあ、それが宇治原さんの持ち味だということで。

 

その中で、人間が犯してしまうミスを3つに分類していた。名付けて「ドジなミス」「アホなミス」「ボケなミス」である。バラエティ番組らしい、わかりやすくて、少し笑えるネーミングにしてある。

 

しかし内容的には高度なことを含んでいた。「ドジなミス」とは「動作ミス」のことであり、「アホなミス」とは「判断ミス」のこと、「ボケなミス」とは「記憶ミス」のことを指していた。まさに「労働安全」などで言われている「ミス」のことである。

 

 

 労働安全として考えれば、「動作ミス」とは、私たちが「不安全な行動」をとることによって発生する。バランスを崩して転倒したり、安全帯を使用せずに転落したりする、といった場合に起こることがある。日常生活でも、何かに頭をぶつけたり、階段から落ちたりということもある。

 

 

 

「判断ミス」とは。私たちが間違った判断をしたり、確認を怠ったりすることから発生する。ある時点では入れてはいけないスィッチをONにしてしまって、人が機械に挟まれたり、横切ってはいけない場合に、無理に横切って運搬車と衝突したりして、事故につながる場合だ。日常生活では、何かで“しまった”と思うような、この手のミスが多いかもしれない。

 

 

 

「記憶ミス」とは、相手に伝えたつもりが伝わっていなかったり、ボタンを押したつもりが押していなかったり、といった、私たちの思い込みや思い違いに起因するミスのことだ。また、全く間違った覚え方をしていることもある。日常生活でも、待ち合わせ時間を間違う、などということなども、時に起きることが有る

 

これらのミスは、当然いろいろな場合に単独でも起こるが、番組ではアメリカで実際に起こった飛行機事故を例にとって、不幸にもこの3つのミスがすべて一時に起こってしまい、結果的に離陸の失敗から多数の死者を出したという事例を紹介していた。

 

またレポーターが、宇治原さんという「賢い人」代表のようなポジションのタレントなので、説明もバラエティ番組というにはかなり「固い」説明になってはいたが、その中味は、労災防止にとってきわめて重要なことばかりだった。

 

人間とは、思い込みやすい生き物であり、うっかりしやすい生き物であり、間違いやすい生き物なのだ。だから、それに対してあらかじめ防止策を考えておく必要がある。

 

そこで番組では、対応策として「ドジなミス=動作ミス」に対しては、「集中力の持続の限界」を考慮して、「短時間は作業に集中し、ごく短時間の休息をとる」ことの繰り返し、という方法を挙げていた。その通りである。夏季の高温下の作業などでは30分くらいが集中力の限界である。そこで一息ついて冷水などを口にすれば、また集中が復活する。

 

「アホなミス=判断ミス」では「周囲の意見を聞く」ことを、対応策として挙げていた。実際の仕事の場面では、周囲に人がいなかったり、相談する時間的な余裕がなかったりすることも多い。

 

そんな場合には、単独の判断では機械が作動しないようなシステムにするとか、必ず指差呼称をするとか、表示看板の“掛け・外し”といった、確認のためにわざと回りくどい作業を要求することで、単独の思い込みによるミスを減らすことが重要になる。

 

「ボケなミス=記憶ミス」は、宇治原さんの説明では「メモを取る」という対応策が挙げられていた。仕事によっては、メモを取ることができない状況になることもあるが、そんな場合でも、少なくとも現場での点検シートの読み上げと指差し確認などは可能である。

 

また伝達の不徹底や、伝達の不確実さの減少のためには、仕事を引き継ぐときに、両者で引継ぎ簿を読み上げ合って確認することも考えられる。人間は、自分の記憶だけに頼ると、時にとんでもない間違いを犯すこともある。だからこそ、「メモを取る=手と目と脳を働かせる」ことが必要なのだ。

 

労働災害は、「潜んでいるリスクと、人が出会う『接点』で発生する」ものである。ただ、事故が起こった時は、起こした本人にも、なぜそんなことをしたのか、その時何を考えていたのかなど、その原因については説明できないことが多い。

 

 

 

 

人間とは、番組で指摘していたように「ドジでアホでボケ」な存在であることを、肝に銘じるべきなのだろう。少なくとも労働災害という、仕事の場で起こってはならないことを避けるためには、まずリスクアセスメントによって設備・施設の安全管理と見直しを徹底すること、さらに従業員教育や訓練と危険予知(KY)活動は、絶対に欠かせないことだと思う。

 

キャビン・アテンダントの方は、毎回の搭乗前ミーティングで、当たり前のことについても、必ず確認を繰り返し行っている。そうして体に染みつくまで覚え込んでも、いったん何かあればパニックになってしまうのも人間である。

 

昨夜私が見た「雨上がり Aさんの話」は、テレビのバラエティ番組などでは滅多に取り上げない、人間の行動における「ミス」の存在と、その対応策についての番組作りだったので、意外さと内容への興味もあって、じっくりと見てしまった。