太宰治生誕100年だそうです。知りませんでしたが、偶然にも「走れメロス」を読了しました。「メロスは激怒した。」から始まるこの名作は、親友セリヌンティウスを人質にしてメロスがそれを友情の証として、また真実の損するところを邪知暴虐の王に見せ付けるために走る物語です。しかし、最終的な走る目的はこの目的からもっと大いなるもののために走りとおすことになるのです。
メロスは純情であり、自分の正義の存するままに感情に任せて無謀にも思うような行動を簡単に起こす人間です。正義感が強い主人公ですが、思索に欠けているとも言えます。しかし、この男の素晴らしいところは、心が挫けても幸運に助けられながらでも、あるいは自助努力によって自分が殺されるためにまっすぐに走り続けるところです。相当な自負心、自尊心がなければ走り続けることは出来ません。
短編小説でありながら、簡素な言葉使いで躍動感を表しています。メロスはセリヌンティウスを途中、心の中で裏切ります。セリヌンティウスもメロスを獄中で疑う心を抱いてしまいます。この二人が再開したときのシーンは男の友情の何者でもない美しいものを感じさせます。
走れメロス、大きい存在のために。心の中でそう叫んでしまいます。名作でありながら読みやすく、何度も読み返して味わえる作品です。日本文学に燦然と輝く名作をこの冬休みにご堪能あれ!
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