清太郎が怒鳴り付けている声が、事務所の外にまで聞こえていました。
「テメェ、俺を舐めてんのか⁈ コンポジ撮っただろうが!所属契約を結ぶ前提だから、こっちも忙しいのに撮ってやったんだ!
コンポジ撮影料と、所属登録料、違約金、合わせて100万円、耳を揃えて払え!
でないとお前の裸の写真を、親や学校にばら撒くぞ!」
電話の相手は遼子でした。
遼子は所属を断ったのです。
麻衣子が事務所に入って行くと、清太郎は人が変わった様に笑顔になりました。
が、指先が小刻みに震えていました。
清太郎「ああ、麻衣子、おはよう。同意書もらえた?」
麻衣子「う、うん…」
清太郎(いくつかダミーの仕事を流して、書類選考で落ちたって事にして、それを何度も繰り返して、そのうち売れないからAVやる?って落とし込むか…)
しかし、この計算も誤算となるのです。
ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•
清太郎「えーーー⁉️マジっすか?」
なんと!麻衣子がミス半魚人コンテストでグランプリに輝いたのです。
それは書類審査だけの簡単なコンテストで、全国からエントリーしたのは、たったの17人でした。
グランプリに選ばれると、一年間、ミス半魚人として全国のスーパー、イベント広場などで半魚人の着ぐるみを着て、半魚人ダンスを披露する事になります。
つまり…、ルックスは関係なかったのです。ただ、半魚人の着ぐるみに体型が合うか否かだけだったのです。
ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•
それは、麻衣子の誤算でした。
想像していた半魚人とはイメージが異なる物だったのです。
雑念を払い除けるかの如く、キレッキレの半魚人ダンスを踊る麻衣子。
何かが憑依したかの様です。
その姿に、会場のチビッコ達は半狂乱となり、逃げ惑います。
それでも、麻衣子のヒートアップは止まりません。
それは、ミス半魚人である事以上に、清太郎と共に過ごせる事が嬉しかったからです。
しかし、その楽しい時間は、あっと言う間に過ぎ去って行きました。
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共に時間を過ごしているうちに清太郎にも、麻衣子に対して特別な感情が芽生えていました。
猛暑の中でも、着ぐるみを着て、笑顔で頑張る麻衣子に、健気で一途な姿を見たのです。
俺、麻衣子に惚れたかも…。
しかし、浮気性の清太郎は、御当地女遊びのヒートアップは、止まらなかったのです。
*・゜゚・*:.。..。.:*:..。.:*・゜゚・*
遂に、全国半魚人ツアーが終了しました。
二人は、スーパーの駐車場から夕陽を眺めています。
まだ出逢って間もない頃、浜辺でハシャギ回った事が、懐かしく思い出されます。
清太郎「麻衣子、俺と結婚しない?」それはプロポーズでした。
「えっ⁈」麻衣子の目には涙が滲んでいました。
ずっと、待ち望んでいた瞬間だったからです。
つづく。
