テレーザは、少し黄ばんだウエディングドレスを着ています。
それは、祖母コニー、母カタリーナも着用した物でした。
マッタリア家の歴史に誇りを持つ彼女は、純白の新しいウェディングドレスよりも、そちらを選んだのです。
いよいよ、式が始まります。ベール ダウンの時が来ました。
テレーザは、それまでの感謝を示すかの様に姿勢を低くします。
ブレッドは、額に上げていたウェディングベールを、優しく下ろしました。
その瞬間、突然、熱い思いが込み上げて来たのです。
そして、テレーザがまだ幼く、カタリーナがこうやって、毎日、服を着せていた映像が浮かんだのです。
ああ、カタリーナが、今、私の身体の中に入って、疑似体験している…、そんな気がしたのです。
そして、それは…、
親としてのベールも、降ろした瞬間だったのです。
感極まり、思わず涙が溢れそうになるブレッド。
その顔を下から見上げるテレーザ。彼女の目にも涙が光っていました。
初めは泣き顔だったテレーザが、ブレッドの顔を見た瞬間に、満面の笑顔を見せていました。
その笑顔に釣られ、ブレッドも笑顔になります。
テレーザ(この顔、笑える (≧∀≦))
ブレッド(ああ、良かった…( ˊ̱˂˃ˋ̱ ))
お互いの心中は、微妙な食い違いがありましたが…、
式を見守る親族からは「成さぬ仲の親子なのに、本当の親子以上の親子だわ!」と感涙を誘い、結果オーライでした。
*・゜゚・*:.。..。.:**:..。.:*・゜゚・*
ブレッドは、講演活動を精力的にこなしていました。
今では、ブレッドが何も話さなくても、その姿を現しただけで人々は涙する存在となっていました。
ブレッドが移動する度に、追っ掛けも地響きと塵煙を上げて大移動します。
ブレッドが視線を向けると、ハァ~~~っと女性達がドミノ倒しに気絶します。
更に、都市伝説まで流布される様になっていました。
「祭壇(壇上の事を指す)にブレッド様のお姿が見えないのに、御言葉(みことば)が聴こえる…、
いえ!あれはブレッド様の後光が強過ぎて、屈折によって見えなくなっているのよ!」
今やブレッドは、教祖的存在となり、神格化されていたのです。
しかし、ブレッドは、本来の目的とは違う講演活動、いや、ライブ コンサート活動に、戸惑っていたのです。
つづく。
