報道陣「あっ!今、全面敗訴の判決を受けたエロニカ・フリンスキーさんが、裁判所から出て来ました!」
その様子は、リアルタイムで中継されていました。
ついさっき迄、エロニカにエールを送っていた群衆は、一転し、罵詈雑言を容赦なく浴びせる、生きた凶器となっていたのです。
「稀代の悪女!詐欺師、恥知らず!女の敵!豊胸整形女!…」
玉子や熟したトマト、得体の知れない液体まで浴びせ、エロニカは生き地獄の洗礼を受けます。
そこは、集団心理によって理性を失った人々の、無法地帯と化していたのです。
お茶の間のTVに、残酷な娯楽に酔いしれる、おぞましい群衆の姿が、映し出されます。
そして…、
連邦警察「エロニカ・フリンスキー、貴女を共謀罪で逮捕します」
ガシャ!
群衆の前で、そして、リアルタイムで中継される中、エロニカに手錠が掛けられました。
既に、逮捕状が用意されていたのです。
前代未聞の陰謀劇と、彼女の人生の幕が降りた瞬間でした。
そして、共和党議員のアラン・コトコーネルの逮捕に向かった連邦警察は、彼の変わり果てた姿を目撃します。
エロニカの敗訴を知った直後に、猟銃自殺していたのです。
ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•
カタリーナとブレッドに、平穏な日常が戻って来ました。
事件を乗り越えた二人の絆は、より強固になり、愛は更に深まっていました。
ただ、一つ違っていたのは…、
男と女の関係では無くなってしまったのです。
カタリーナの心から、何かが崩壊し、消し去られたのです。
ブレッドに触れられると、カタリーナの身体は、反射的に硬直する様になりました。
触らないで!という無言のオーラを放っているのが、ブレッドにも伝わります。
カタリーナ(あんなモノ、見なきゃ良かった…)
カタリーナは、執務室でのDVDを見ていたのです。
ブレッドが逆セクハラの被害者であると分かっても、現実に他の女性と行為にふけっている場面は、彼女には衝撃が強過ぎたのです。
彼女は、自分でもどうする事も出来ない程、心は傷つき、乱れ、粉々に割れていたのです。
ブレッドは、何度もカタリーナを優しく誘いました。
カタリーナも、それに応えようと努力しました。
しかし、どうしても、あの映像が脳裏から離れず、受け入れる事が出来ないのです。
もし、カタリーナがまだ若く、性欲が盛んであったならば、乗り越えたのかも知れません。
しかし、更年期に差し掛かったカタリーナには、その背中を押す性欲が、減退していたのです。
人の夫に、軽い気持ちで手を出す女が許せない!
あんな映像を観なければ、今でも幸せな夫婦生活を送っていた筈なのに…、
裁判は終わっても、心の傷は終わらなかったのです。
そんなカタリーナに、追い討ちを掛ける様に、更なる悲劇が襲います。
つづく。
