やがて綺麗な蝶になるために -5ページ目

損切り禁止

他の方のブログから見つけたネタです。

米国市場は空売り規制がかっているようですが(もともと、ダウンティックのときは空売りが出来ないという規制があったと思うが)、ここ のコメンテータ(David Weinder)という人が


「もっと良いアイディアがある。買った値段より安い値段で株を売ってはいけない、というルールを作ればよいのだ」


という自称"better idea"を発言してます。

もちろん、99%ジョークだと思いますが、このアイディアはすごい(笑)。

是非、SECに提案してください。


私は以前から、

「信用取引を違法にすれば、市場から投機筋が一掃されて参加者の信用許容度が大幅に増し、ヒステリックなストップロスの嵐は激減し、日々のボラリティは低下し、株価は安定し、そして真の株価が浮き彫りになる」

ということを半分くらい本気で思っているんですけど。



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カテゴリ:投資全般(経済学)

レベル:初心者~上級者

点数:90点


*概要

新進気鋭の経済学者が身の回りの犯罪や詐欺みたいな話にフォーカスを絞り、それを経済学的手法によって紐解いていくという本。米国で大変話題になった本らしい。
なお、内容は資本主義経済とも、投資とも、直接的には何の関係も無い。


*良いところ

きっと、とても頭の良い人が書いた本なんだと思う。

一見正しそうなことを"正しくない"と主張することも、分からないことを"分からない"と主張することも、一般社会では(特に集団行動の中では)大変難しいことだと思う。それが出来る人が一流な人の共通点ではないかと私は思っており、この人はそういう類の人なのかなぁと思う。

 さて、この本の値段分の価値は、もしかすると序章に書かれている内容だけでも十分にあるのかもしれないと思い、そして、これこそが投資活動にもうまく適用できるのではないかと私が思うところでそしてこの本をおすすめしたいと思う理由でもあるので、ちょっと引用しておく。


・「インセンティブは現代の日常の礎である」

・「通念は大体間違っている」

・「遠く離れたところで起きたほんのちょっとしたことが原因で劇的な事態が起きることは多い」

・「専門家は自分の情報優位性を自分の目的のために利用する」

・「何をどうやって測るべきかを知っていれば込み入った世界もずっと分かりやすくなる」


自身の投資戦略とこれらを照らし合わせて検証してみると良いのではないかと。

 確か、チャーリーマンガーが

「人間の行動を説明できなくて何のための経済学なのでしょうか?」

ということを言っていたと思うが、ともすればすぐにマクロ経済学と日経新聞に毒される我々の頭をリフレッシュされるという意味でも、面白い本だと思う。



*悪いところ

着目点がすべからく米国の視点である。

もちろん、米国の経済学者であり、原著は米国で発売されているのだから仕方ないと思うが、ドラッグや銃や人種差別の問題は我々日本人ではなかなか身近なものとしてこれらを見ることが出来ないので、ちょっと残念ではある。

 続編に期待するか、日本人がこういうものを書いてくれるかに期待したいところである(もちろん、日本人の書いた書物でも類似するようなアプローチをしているものはあるのではないかと思うが)。

荒れる相場

まだまだ続くよサブプライム、といったところですか...。

今週は一つ勝負どころとなりそうな感じです。


今年はまた長期投資も復活させまして、少しずつ欲しかった銘柄も買い始めています。

ポイントは、何処まで購入を我慢するか、ですかね。

とはいえ、米国のGSEが本当にやばいことが起きれば、大幅な信用縮小が起きても不思議じゃないので、そこまで資金を温存しておく必要があるのかもしれませんが...。

複雑な内情は分からないので、結局最後は、米国という国を信じるしかないのかもしれません。


誰のせいなのか?

最近、各国の偉い人たちが

「投資家のせいで原油価格が不当な水準になっている。マネーゲームは止めなさい。」

という発言がメディアで目にする機会が増えていると思います。

儲かっているんだから、誰もマネーゲームは止めないでしょう。:)


 どうしても何とかするなら、政治的に中東不安を解消する方向に向かうか、それとも徹底的に金融引き締めをしてリスクマネーを縮小させるか、でしょうか。

 前者は大国の論理的にそれほど簡単な話じゃないですね。何しろ、核兵器というものは、ごく限られた小数の国だけが世界平和の維持のために保有することを許されているものとなっているようですので。また宗教上の問題という極めて解決困難な状況もありますね。

 後者はどうかっていうと、米国には別の金融不安がある訳で、信用の縮小がそっちのサイドで発生してしまっては最悪の事態になります。なので、ウォール街が芳しい状況になるまでは、そう簡単には利上げは出来ないのではないかと(欧州はやりましたね)。


 日本の政治家や官僚に関して言うならば、ぶつぶつと投資家に文句を言うのであれば、日本の中長期的なビジョンとして、原油という資源に対してどのように対峙すればよいのかを示して欲しいと思います。エコというのは簡単ですが、消費者目線としては原油高に対しての直接的な解には結びつきにくいです。弱者にとってもっとも手っ取り早い方法は、例えばオプションを使って原油高をヘッジすることです。が、これはオプションの買い手の直接的な意図とは関係なく、マネーゲームなるものに加勢していることになりかねないように思ったりする訳ですが。


コイン投げで10連敗するためには?

コインを投げて表が10回連続する確率は?

2を10乗して、答えは1,024ですね。

一方で、メディアの見出しを見ると、NK225の10連敗は、なんと43年ぶりだそうです。

ふむ...。

翌日の終値がランダムウォークだとすると、随分長い間、起きるべきことが起きていなかったということですか..。


もちろん、ランダムウォークが正しいならば、明日NK225がプラスになる確率は1/2しかないことになります。

配当収入(5)

それでは今回は成長率について考えてみることにします。


前回の説明によると、

「配当利回りが現時点で配当利回りが高くても、割引率が高ければお買い得とは言えない。そして割引率は、大雑把には3%よりは高いだろうから、多くの場合、高配当銘柄という条件だけではよろしくない」

という結論になります。


ところで、割引率はどうして高くなるのでしょうか?

きっと、以下の二つだろうと思います。

・"より馬鹿"な投資家が自分より高値で買ってくれるだろうという思惑

・企業とは成長するものだという思惑

美しい投資理念という前提から、後者について考えてみることにします。

この利益成長っていうのはどのくらい意味を持つのでしょうか?

是非、実際に増配率を想定して現在価値を計算をしてみてください。

結論としては、かなり効いてくる、ということが分かります。

とはいえ、逆に言えば、成長を安易に仮定することは大変危険なことでもある訳です。


 最初の仮定の通り、この会社はニッチマーケットを独占し、またストック型ビジネスで、新規参入者も少ないようなトールゲート型の企業のようなのですが、すでにマーケットは成熟していて多くの利益成長は望めないという状況になっている訳です。

ここで注意しないといけないことは、利益成長は望めないのですが、毎年安定したフリーキャッシュフローがあるならば配当成長は望める可能性がありそうだ、ということです。


ということで、次回は利益成長と配当成長との関係を考えてみたいと思います。

配当収入(4)

実は、このようなことを改めて考えてみたというのは、自分が買おうと思っている銘柄のことを色々と考えてみたことによります。私は高配当な銘柄が基本的に好きなのですが、それってどれくらい意味があるんだろう?と改めて思ったことが出発点です。

 さて、どうやら大切なことは割引率と成長性という二つになるのではないかと思う訳で、今回の事例を念頭に置いた上で、この二つについて少し考えてみます。


*割引率とは?

とにかく、この割引率というものほど重宝なものも無いし、これほど正体の分からないものもありません。

大雑把に言えば、

「同程度のリスクを持つ商品に投資家が期待するリターン」

ということになりましょうか。

となると次は、"リスクって何ですか?"ということになりますね。


*リスクとは?

"リスク=ばらつき"

という教科書的な立場に立つと、リスクは過去の株価変動の偏差を調べるというアプローチは意味があるかもしれません。ただ、過去は過去です。過去がどれほど未来を予測するのかを真面目に考えてからこういうアプローチに頼るべきと思います。


 ところで、この企業は安定収入があるという仮説に立っていますので、配当収入のばらつき、少なくとも下方にいくということは想定されてません。したがって、配当収入という観点ではバラツキは無いのです。また、株式を10年持ちきるつもりでいますので、短い時間軸での株価の変動も私はリスクだと思ってません。

してみると、

私から見ると、この株のリスクは極めて低い

となる訳です。

ところが、ご他聞にもれず株価はとにかくばたばたとばたつく訳で、ほとんどの人は"私ほどはリスクが低い"とは考えていないことになりそうです。

結局のところ、"リスクのコンセンサス"が大切なのですが、困ったことに投資家は自信過剰バイアスがあるのでコンセンサスよりも自分の価値判断を正しいと思うでしょう。"年利20%が目標"というバリュー投資家な人がインターネット上にそれなりにいる訳で、バリュー投資家に人気がある銘柄は意外とリスクが高いんじゃないかと思ったりすることもあります(その20%の源泉が的確なマーケットタイミングに基づく場合は話が別ですが)。もっとも、戦略を持たない投資家はもっと大きな夢を見ているのかもしれませんが(苦笑)。


*バラツキが重要なのか?

"短期の株価の動きは気にしないし意味が無い"

と声高に言っている人が結構多いのに驚くのですが、こういう人から見ると、株価変動のバラツキっていうのはリスクにはならなさそうです。

一方で、レバレッジ全快でトレードしている人にはバラツキは恐ろしいものです。20%下がって元に戻ればオッケーですが、40%下がって元に戻っても途中で強制退場ですから...。

 結局こういう人たちのコンセンサスでマーケットはほどほどのバラツキ許容度の位置にいるのでしょうか、そのコンセンサスが何であるかを知るのはやはり難しいし、ましてや"短期の株価は気にならない"と言っている人が自分からは随分遠く離れたところにあるであろうコンセンサスを真に理解することは相当難しい作業であると思います。


*割引率についてのまとめ

ウダウダと書いた私の意見をまとめてみるとこんなところです。


・システムは割引率に大きく支配されている

・しかし割引率を求めることは困難(無理)である

・"リスク"という言葉の捉え方に多様性(バラツキ)がある

・自分が賢明な投資家に近いほど割引率のコンセンサスを甘く見積もりがちではないか?

・十分な割引率を織り込む株価水準というのを常に意識していると良さそう


次回は成長性について考えてみます。



配当収入(3)

という訳で、これを評価してみることにしましょう。


D = A(0) - { C*∑1/(1+r)^n + A(n)/(1+r)^n }


ここで第二項の括弧内部に注目してみます。

N=10、A(N)=100としておいて、C=100*0.03、つまり10年後の配当利回りが3%になるような一定の配当金額収入があると仮定したときに一体A(0)は幾らじゃないといけないのか?ということを計算してみます。

すると、以下のようになりました。



割引率 現在価値 配当利回り
1 118.9426 2.522224814
2 108.9826 2.752733384
3 100 3
4 91.8891 3.264804925
5 84.55653 3.547922313
6 77.91974 3.850115573
7 71.90567 4.172132517
8 66.44959 4.514700338
9 61.49405 4.878520467
10 56.98803 5.264263366
11 52.88614 5.672563318
12 49.14799 6.104013272
13 45.73757 6.559159816
14 42.62273 7.038498352
15 39.77478 7.542468531


上記の表は、例えば、割引率を7%の場合には、A(0)は84.6円である必要があるということになり、そして、そのときの配当利回りは3/84.6=4.2%であるということを意味しています。


ここから分かるとことは、割引率が7%であるならば、

 ・配当利回りが4.2%以上となるような現在株価であること

 ・10年後にその株の値段は18%程度上昇していること

を満足しないと投資価値が無いことになりそうです。

割引率を幾つにするのが妥当なのか?というのは色々と議論の余地はあるかと思いますし、そもそもマクロ要因を一切無視して期間内で割引率を一定にしてよいのか?などの問題もあると思うのですが、長期的な株価の利回りを考えると、7%くらいにするのはそれほど酷い話ではないかなと思います。


こうしてみると、成長性は見込めないが安定収入があるような業種を選んで、その会社の配当利回りが現在4.2%あったとしても、10年後に株価が20%上昇しないと採算が取れないということが分かると思います。

つまり、

「安定収入のある高配当銘柄を買ってもそれだけでは割に合わない」

という結論になりそうです。

ましてや、

「国債の利回りよりも配当利回りが高いので今は株式投資は魅力的」

というのは、嘘な話か、もしくはとても大切な仮定が省略されているということになりそうです。


この話、本当でしょうか?

どこか間違っているでしょうか?

(少なくとも、私のプログラムが間違っている可能性はありますが...)



配当収入(2)

それでは、実際にどのくらいの価値があるのか計算してみることにしましょう。

これは、

「毎年C円の収入がある商品の現在価値は?」

という問題を問うていることになりますね。

このような話は、DCF(Discounted Cash Flow)法のもっとも典型的なやつです。


現在価値= C/(1+r)^1 + C/(1+r)^2 + ... C/(1+r)^n + A/(1+r)^n


数学記号を使うともっと簡単で、


現在価値= C*∑1/(1+r)^n + A(n)/(1+r)^n)


ということになります。

ここで

r...割引率

A(n)...n年後の商品の値段

としています。

これとA(0)、つまりこの商品の現在の値段とを比較すればよいですね。


 (現在の値段)-(現在の価値)


を計算して、これが負になっていれば"お買い得"と考えることが出来るでしょう。

つまり、


D = A(0) - { C*∑1/(1+r)^n + A(n)/(1+r)^n }


を評価すればよいことになります。

この式の評価は、色々と仮説をたてないと前に進まなさそうです。

パラメータとして取り扱うべきは、前述したrとA(n)ですね。


次回からはこれについて考えてみることにします。

配当収入(1)

"上級"っていう新しいテーマを作ってみました。

適当にトピックを選んで適当に書いてみようと思います。


とりあえず今回のテーマは配当収入についてです。


以下の銘柄が目の前に落ちているとします。

この銘柄、買うに値するでしょうか?

マクロな条件が必要なら適当につけてもよいとします。


・参入障壁がある程度高いビジネスモデル

・高い株主持分比率

・決して悪くない資本効率

・豊富な流動資産

・今後10年以上、現状並みのFCFが望める

・現在の配当利回りは3%

・PBRは1.2倍


こういうような条件で、株式の購入/売却判定をしているようなものをあんまり見たことが無いので、ちょっと書いてみようかなぁと思った次第なんですが。