【訳者Greatchain】
The Sakerはロシア通の、信頼と尊敬に値する古参の評論家である。一読して、アンドレ・ヴルチェクに、基本的に似ていることがおわかりであろう。彼が冒頭近くで、オバマとトランプの区別をしないのは、無知からでなく、その見方の大きさから来るものである。
この文章は生き生きとしてわかり易く、新聞やテレビしか世界情勢の判断の手段をもたない人々は、目からうろこの思いがするであろう。特に「寄生虫とコロナウィルス」あるいは「寄生虫と宿主」の比喩(2頁下)は感嘆すべきで、この2つは基本的に同じものであることに、我々は気づくであろう。
最後に言っている、ロシアについてのアメリカの大ウソの暴露は、ニュースで聞いて、おかしいと思っていた人々があるかもしれない。いかに恥も外聞もないという状態に、彼らがいま陥っているかがわかる。
The Saker “Information Clearing House”
April 9, 2020
“そして不信の者たちはたくらみ、計略を練った。そして神もまた計略を立てたが、最高の計略者は神である”――『コーラン』イムランの家族——3:54
すでに何年にもわたって、アングロ・シオニスト帝国が、もう生きられないということ、早晩、破産するということは、かなり明かなことだった。その崩壊が考えられる典型的な、主に2つのシナリオがあった:——外面的な危機(典型的に大きな軍事的敗北)または内面的な危機(経済的崩壊)。個人的には、私は常に最初のシナリオ(特にここに説明している)考えていた。https://www.unz.com/tsaker/book-review-twilights-last-gleaming-by-j-m-greer/ 私は、このような破局的な軍事敗北(アメリカにとっての)の「特別の」場所さえ持っていた——すなわち、イランと中東。特別のシナリオがどうであろうと、このことは明かだった:——
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この帝国は生きることはできない。
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この帝国を改善することはできない。
ついでながら、同じことがアメリカの政治システムについても当てはまる。
しかし、一つの巨大な問題があった。このアングロ・シオニストのプロパガンダ機械の、性格と大きさは、ほとんどの西洋人を、その現実性について完全な無知の状態に保ち、それは非常に成功した。帝国の崩壊が早ければ早いほど、オバマやトランプは、彼らの愛国的な旗振りセレモニー(別名「記者会談」)を、「欠くことのできない国家」という呼び方で、味付けしてみせた。その「強いリーダーシップ」は、「歴史上最高の経済」のおかげであり、「歴史上最高の軍隊」、また「信じられない最高経営責任者」「信じられない政治家」「信じられない会話」にさえある、と宣伝した。そのメッセージは単純だった。我々が最上であり、残りすべての者たちに勝っており、無敵だということである。
そこでCOVID-19が起こった。
このパンデミックに対するアメリカの最初の反応は、それを完全に無視または軽視するか、それとも中国の罪にするか、どちらかだった。もう一つの例外的に馬鹿げた説は、ウィルスはアジア人だけを冒すというものだった。この説はかなり急速に広がった。他の神話や、もっと馬鹿々々しいウソが、少なくとも一時期は、根強く残った。
それからイタリアのそれが起こり、ほどなくしてスペインとフランスが続いた。
論調を変える者が出始めた。EUは、アメリカほどひどくはないと考える者がいた。
それからニューヨークの蔓延が起こり、この「欠くことのできない国家」と、それを宿主とする「帝国主義寄生虫」に対して、地獄の扉が切って落とされた。「阿呆のトップ」までが、「イースターまでには終わるだろう」から、考えを切り替えて、「数百万のアメリカ人」を救う、というようなことを言い出した(アメリカは非アメリカ人のことは眼中にない)。
私は、このプロセスは今後、加速する一方であると予言する。
そう結論するにはいくつかの理由がある:——
第一に、帝国のプロパガンダ機械は、米英のような国家においてさえ、その災害の大きさを隠すことはできない。確かに初めは、医者や米海軍司令官でさえ、真実を話したために即決解雇となった。しかしそのような場合でさえ、隠すことは不可能とわかり、大衆は、公的な保証や声明をますます疑うようになった。真実のところは、惑星のほとんど全体が、これは巨大な危機であると理解し、ロシアや中国のような国の方が、アメリカよりはるかに正確に、これに反応していると考えた。この惑星はまた、アメリカの「非医療」システムが崩壊し、腐敗し、ほとんど機能しなくなったこと、トランプの最初の楽観主義は、ほとんど基づくものがないことを知っている。ところで、トランプ憎しの連中は、この危機を直ちに利用して、トランプをバッシュしている。悲しいことは、彼らも選ぶところがないにもかかわらず、(そして明らかに、脳死状態のアンクル・ジョーではないものの)、彼らは、トランプが完全に現実離れしているという点では当たっている。インターネットの時代では、これは、米プロパガンダ機械でさえ、大衆から完全に隠すことのできない現実である。
第2に、そしてこれは全く自明のことだが、いま明らかになりつつあることは、資本主義的な自由市場のイデオロギー、グローバリズム、消費者主義、極端な個人主義、そして特に強欲が、この危機に対処することが全くできなくなったことである。もっと忌々しいのは、我々の強欲の総計が最適の社会を創り出すというイデオロギーを、いまだに信じている人たちで、これに対し、より強い連帯の集団的伝統をもった国々が(マルクス主義や社会主義によって強化されても、されなくても)より成功した。中国を初めとして、キューバや、ロシアさえそうであり(それはマルクス主義でも社会主義でもないが、非常に強い集団主義の伝統をもっている)、韓国やシンガポール(共に非マルクス主義)もそうだ。帝国に戦争を仕掛けられ、包囲されている、小さなベネズエラでさえ、なんとかうまくやっている。これらの国々はすべて、もっと金持ちで、もっと「自由」と考えられている国々よりも、うまくやっただけでなく、アメリカの制裁の下でもうまくやってのけた。そして最後に、悪口に侮辱を加えるようだが、これらの「悪い」ことになっている国々は、帝国に取り込まれている国々よりも、はるかに寛大であることを証明した:——彼らは、最も助けを必要とする国々(イタリア、スペイン、シベリア等)に、何トンもの生命必需品や、何百人もの専門科学者を送っている。
最終的には、アメリカでさえ、ロシアから援助を受けねばならなかった;——2台の巨大な軍事AN-124搬送車の中身がそれである。
このアイロニーを考えてみるとよい! その経済がボロボロになっていると(オバマによって)考えられた国が、人道主義援助を「欠かすことのできない国家」(再びオバマ)に送っている。これらの援助物資は、アメリカの制裁下にある国から送られただけでなかった。「感謝した」アメリカのメディアは、直ちに、これはロシアのPR行動だと宣言した。特にそれは、積み荷の50%が、アメリカの支払いによるものではないか、と彼らは言った(残りは輸送料を含め、ロシアの払ったものだ)。
少なくともイタリアでは、これに疑問が起こり始めている――なぜ、アメリカ、NATO、あるいはEUは、このような助けをひどく必要としている人々に、全く何の援助もしなかったのかと。そして、なぜ、寛大に援助をした国々(ロシア、中国、キューバ)は、イタリアの制裁を含め、すべて制裁を受けている国々なのか! 実にいい質問だ。これに答えたのはセルビアの首相Vucicだった。彼は、ヨーロッパの団結(連帯)は「妖精物語だ」と答えた。もちろん彼は全く正しい。
第3に、そこで我々は全員が、西洋の「民主主義国家」が、文字通りお互い同士、重要な医療機器の奪い合いをやっているという醜い光景を、何度も繰り返し見た。実際、純粋に資本主義の論理では、この種の「競争」は不可避的である(真)と同時に、望ましいもの(偽)だ。つまり大医薬業界のすべては、この財政的な残りものを利用して、彼らの儲けを最大限にしたのだ。(これが結局は、すべての企業が、資本主義的システムでやっていることで、彼らの株主に最大限の利益を与えている。)国家や国々でさえ競い合って、今は医療器具を手に入れている。すべてがうまくいき、西洋が惑星の残りを自由に略奪できる限り、資本主義はより良い未来を約束するもののように見えた(共産主義がそうであったように)。しかし今、この大きな「プロパガンダの〈カードの家〉」が崩れ落ち、資本主義がその本当の顔(金持ちによってつくられた貧民を苦しめるイデオロギー)を見せるようになると、その集団主義社会との比較は、とても恥ずかしいのだが、避けられないものになってしまった。
第4に、我々はまた、帝国のプロパガンダ機械のいやらしさを目撃している。それは新聞記事に書かれた「ロシアは役に立たない機器をイタリアに送った」とか、「中国の設備は役に立たない」とか、もっと機敏に働いた他の国々も、すべて本当の数値をごまかしていた、といった話に現れている。(それらはすべてナンセンスで、中国人は非常に開放的であり、ロシア人も同様だ。本当のところは、パンデミックの初期の状態では、本当の数値を得るのが困難で、後になって知ることができたということ。)これは、「イラクの保育器」や「民族抹殺のセルビア人」や「カダフィのバイアグラ」などと同じ類いのウソであり、いずれ時間が真相を教えるだろう。
第5に、次に貧困の問題がある。我々はこのパンデミックが、富裕層よりも貧困層をより厳しく遇するという、最初の徴候を見ている。これは驚くに当たらない。たとえばアメリカでは、ニューヨーク、シカゴ、デトロイト、マイアミ、ニューオーリンズのような都市に貧困層が多く、その人々が大きな打撃を受けている。しかしこれはまだ、初めのことにすぎず、はるかにもっと大きいスラム街が、他の国にはあり、ラテンアメリカがそれで、多分もっとひどいのはアフリカである。何らかの奇跡を除くとすれば、第3世界のスラムの死亡率は恐るべきものと言ってよいだろう。そして確実に言えることは、集団主義の貧困国の方が、自由市場経済の欺瞞に縛られている者たちよりも、はるかに恵まれていることである。ここでも、これらの国のすべてに、大きな政治的結果が伴っている。私は、あまり遠くない未来に、いくつかの政権交代が起こると予言する。
第6に、帝国そのものと同じく、NATOとEUもまた、自由落下状態にあり、ともにどうすべきか解答が見えず、いかなる行動も取れずにパニックに陥っている。旗振りの阿呆のヘッドと同じく、私はマクロンやメルケルとも、話を聞く機会を得た。彼らはともに完全な半狂乱状態で、マクロンは何度も繰り返し「戦争」を口にし、メルケルは、このパンデミックは、第2次大戦以来のドイツの直面する、最も深刻な挑戦だと宣言した。それでも、アメリカと最も驚くべき対象をなすのは、ロシアであろう。プーチンは、いくつか特別アピールをロシア国民に対して行った。そして彼の声調は、明らかに決然とした、明らかに暗鬱なものだった。私はプーチンの、ロシア国民に対する最後のメッセージの、スクリーンショットを取った。彼の言葉の表現は読者自身でお聞きいただきたい。
モスクワのCOVID-19危機について、医療専門家がプーチンに、ロシアは「イタリアのシナリオを回避する」用意をしておかねばならないと言った――この時点(3月39日)で確認されたロシアの患者は1836人だけで、死者は9人、回復者は66人だけである。この3つの国家(米、イタリア、ロシア)を比べてみよう:——
・・・表は省略(注:感染者、死者、回復者とも、ロシアが圧倒的少数(特に死者))
上の数字のすべてはここからきている:https://coronavirus.jhu.edu/map.html
(3月30日現在!!)
更に言えば、ロシアの特別医療チーム――ロシア軍‐核・生物・化学・保護部隊――が現在、フル稼働しており、特殊ABC/NBC医療機器の不足は、ロシアにはないにもかかわらず、ロシア軍は現在、16の特別病院をロシアの各地に建設中である。ロシアはまた、内部の空気と鉄道の交通をほぼ完全に遮断している。
その多くは予言できた。なぜならモスクワは、いかなる他のロシア地域よりはるかに豊かであり、その大人口にもかかわらず、成功しているからである。ここに、モスクワ地域の公的なロシアの数字が載っている(これも3月30日現在!!)
・・・表は省略(注:感染者、死者、回復者ともに、モスクワが圧倒的少数(特に死者))
この数字のソースは:https://coronavirus.jhu.edu/map.html
明らかにアメリカより成功しているロシアのような国が、最悪の状態のようになっているのは、非常におかしなことではないだろうか? アメリカの指導者が教えない、どんなことをロシア人が知っているだろうか?
もちろん、反ロシア・プロパガンダ機械はそれを説明している。たとえば、その主張によると、ロシア人はあらゆることについてウソをついている。西側の工作員による心理作戦まで行われており、ロシア人医師のふりをして知った、隠された死者が数千人もいて、ロシアには医療機器が全くなく、ロシア人は途方に暮れている。これまで冷静だったアナリストが、現在「プーチンはコントロールができなくなった」と、主張さえしている。
まったく正直に言って、私はこれまでの生涯で、これほどの大量のナンセンス、虚偽情報、無根拠のうわさ、そして特に、これほどの恥知らずなニセ広告を見たことがない。ある者たちにとっては、この危機は明らかに、何らかの注目を回復するチャンスなのだ。それは実は、完全な恥さらしである。ある新しい形の、危機から利益を得る方法である。
私は確かに医療の専門家ではない。しかし私は、ロシア政府とその「ボディ・ラングェジ」のようなものを知っている。そして私は、ロシア人は極めて真剣に、ロシアにとってさえ巨大な危機となるかもしれないものに備えている、と保証することができる。
――終わりの数十行省略
PDF: http://www.dcsociety.org/2012/info2012/200415.pdf