「鍵の掛かった男」感想メモ1 ※ネタバレあり | 猫の島調査報告書

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月夜にささやかな酒宴 ことのは積み上げ十年目


「鍵の掛かった男」/有栖川有栖/幻冬舎。

ネタバレありの感想&メモ。

メモが長いため以下のように3分割。
感想1……第一章~第三章
感想2……第四章~第六章
感想3……第七章~終章

※紹介記事として書いていないため、文章は纏めていない。メモと心の叫び。
※(P.xx)は、根拠となる描写のあるページ数。



■あらすじ
大阪・中之島にある銀星ホテルに長期滞在していた男の死について、
作家有栖シリーズの主人公である推理作家の有栖川有栖が調べていく、という物語。



■時間軸(本編)
2015年(P.16)

1/13(火)23:00 ~
1/14(月)02:00 梨田稔が死亡(P.24,58)

1/30(金) 有栖、東京で影浦浪子から調査依頼を受ける(P.9)

1/31(土) 有栖、京都で火村と会議(P.38)

2/ 1(日) 有栖、調査開始(P.50)

2/ 2(月) 有栖、生前の梨田の行動と人物史を調査(P.130)


■事件当日の天気
「雪が積もっていたわけでもない」(P.58)

気象庁の過去の天気1時間毎データより

1/13 
曇り、夜半より晴れ
降雨なし
気温 最高8.9/最低4.3
月齢 22.1 下弦

1/14
晴れ、日中は曇り
降雨なし 
気温 最高9/最低1.2
月齢 23.1


■事件当日のホテル内
→P.85からをまとめてみる。

施錠開閉によるセキュリティシステム反応なし。

ペントハウス 桂木鷹史・美菜絵(支配人)

401スイート 梨田稔(死亡)
402スイート 影浦浪子(小説家・依頼人)
403ツイン  空室
404ツイン  空室
 
301ツイン  
302ツイン  
303ツイン  
304ツイン  
305ツイン  露口芳穂(美菜絵の友人)
306ツイン  
307ツイン  
308ツイン  

201ツイン  
202ツイン  
203ツイン  日根野谷愛助(呉服商)
204ツイン  
205ツイン  
206ツイン  
207ツイン  
208ツイン  

部屋番号不明……
鹿内茉莉香(ミュージシャン)
萬夫妻(会社員)
タイ人の夫妻(観光客)


「従業員が十人」(P.88)
支配人   桂木美菜絵
支配人   桂木鷹史
副支配人  丹羽靖幸
シェフ   ?
フロント  水野由岐
当日夜番  高比良和機
客室係   ?
清掃係   ?
ウェイトレス ?
?      ?

 
■位置情報
※この作品はフィクションです。
といいながらも、現代時間軸の大阪を舞台としている訳で、特に在阪でもないためイメージを掴むために確認。

A)銀星ホテル
→場所は、三井ガーデンホテル大阪プレミアにどんぴしゃ(P.4地図)
※実際のガーデンホテルは、高層でフレンチレストランもないのでホテル自体のモデルではない。ガーデンホテルは2014年に公園の跡地に建てられている。


B)1/30 東京のホテル
→帝国ホテル
名門、インペリアルフロア、スイートの面積・設備・アメニティ、鉄道高架越しに銀座方面が見える、タクシーで東京駅に行く距離感、宿泊費など(P.30~)が完全合致。
授賞式も多く行われているので、「お濠端」(P.30)から少し離れるが、これは完全にモデル。(自分的にお濠端というとパレスホテルぐらいの距離感)


C)1/31 京都のホテル喫茶ラウンジ
→おそらくNEW都ホテルあたり
京都駅近く(P.38)、
八条口、道路を隔てて駅(P.40)
※ただし都の喫茶ラウンジは全席禁煙のため、最重要な「煙草が吸える」(P.38)条件が満たされない。2015年3月にリニューアルしたそうなので、それ以前に喫煙可であれば可能性は高まる。


D)2/1 北浜のビルにあるカフェ(P.50)
→無数にあるよね。断念。
 店を出た後、有栖は繁岡が「堺筋を南に歩いていった」(P.64)姿を見ており、本人は「反対に向かい、北浜一丁目の交差点に出る。東南角は大阪証券取引所」(P.66)とある。
 なので、店は北浜1交差点よりも南で堺筋に面しているあたりということになる。
 実際の周辺の有名店だと五感なんかもあるが、ちょっと警察のかたとお話しするには難がw。チェーン店でサンマルクとかでもいいか。


E)梨田のボランティア先の病院
→JCHO大阪病院のイメージ
「私立総合病院は、島の北西」(P.130)、病院内での会話で梨田が「中之島で転びました」(P.131)と言っていた(=この病院は中之島にはない) ことを合わせて、島内北西部の住友病院ではなく、島から見て北西対岸あたりという認識。
またホームページにボランティアスタッフの項が記載されている。(関電、いわき、住友のページにはない)
※独立行政法人だと私立にあたらないか。


F)NPO悩みの電話相談センター
江戸堀一丁目(P.139)
ざっと調べたので、実際の該当するところは見つからなかった。該当見つかっても多分記事には書かない。

 

■気になる単語
A)レストラン コメット(P.69)
銀星ホテルの名物でもあるフレンチレストラン。
→確認したところ英語と同じく、仏語のコメット Comete=彗星。
銀星ホテルらしいネーミングと思っていると、ホテルのラウンジ壁面のタペストリーは「銀色の星が一つ、すーっと斜めに流れていた」(P.116)絵柄でホテルのシンボルとのこと。

→事件当夜の天文学的事象は?
 晴れてるのだから星は見えるはず。

 天文サイトによると、2014年末あたりからラブジョイ彗星(C/2014 Q2)が接近。2015/1/7最接近、ただしほぼ満月のため5.8等星を都市部で目視するのは難しい。「1月13日が下弦、20日が新月で、この間がとくに観察や撮影のチャンス」だったらしいが、南西上空は見上げられただろうか。

→梨田の401号室は南側はほとんど窓。(P.92~)

→最上階の支配人夫妻のペントハウスからだと見やすくないか?
ここまでくると我ながら妄想乙。


B)芳穂
→名前が出てくるたびに芳穂大夫さんが思い浮かぶ。


■現場平面図
P.91からの描写をまとめ……られてないんだな、これが。
北西角のエレベーターから見て手前ってどっちやねん!
401号室の中の間取りだけは解るのだが、他の部屋と廊下非常口ドコー状態。うあう。
401以外気にしなくてもいいのだろうか?
肥後橋に向かう側(=東向き? 道なりだと東北東?)は401ではなく402号室の窓。(P.175)


■火事の時期
「銀星ホテルにくる何年か前」(P.102美菜絵)
「広島にいたころ、6~7年前」(P.132ボランティア同僚)
「60を過ぎて」(P.147鷹史)
→梨田69歳、銀星ホテルにて長逗留を始めたのが5年前なので、他人に話していた内容は平仄が取れている。


■梨田ルーティン
(月) 公園清掃
(火) 悩み相談電話センター(午後)
(水) 休み
(木) 病院ボランティア
(金) 悩み相談電話センター(午後)
(土) 休み
(日) 休み

※16日が(火)(金)ならば休み(悩み相談センター員)
→月命日?
 火村准教授も同意見らしい(P.182)

→(火)(金)の直近20年の該当日
20 × 365 × 1/30 × 2/7  ≒ 70日
と計算しかけたが、
相談センターに行くのが(火)(金)だというだけで、おそらく他の曜日であっても、普段とは違う行動を取っていたはず。

 
■その他
・有栖がいつにも増して無自覚に厭世的
 ちょっと御身内を心配したくなる

・相変わらず大阪観光に行きたくさせる

・「縛られるメリット」(P.45)

・ 突然の「ふぉい」@繁岡巡査部長に腹筋死亡w(P.55,63)
 二段階とか卑怯www

・「睡眠薬」(P.60)「容器がない」(P.62)
→ロシア紅茶の謎という作品があってだな……

・フレンチのコースメニューについて、どこまで考察すればいいのだろう
 
・金庫の暗証番号(P.92)

・鷹史の母の事故(P.145)と梨田は関係ある?

・阪神淡路大震災20年はミスリーディング要素なんじゃないか?
 しかし311では強めに反応(P.159)

・額の怪我の件、引っ掛かる。
 ここもミスリーディング要素だと理性は言うのだが、感性は深く突っ込んでおけと命令する。
 
・「アルバムがないのは変」(P.101)
 →そういうものか?

・2014/4/15 造幣局の桜の写真(P.103)
→おお丁度見に行った年だ。
→ちなみに4/15の天気
 晴れ
 降雨なし
 気温 最高18.5/最低7.7

・「左掌に擦過傷」(P.106)
 →作家賞、は置いといて。突き飛ばされて額と掌に怪我をしたのは2/16。

・ここで「憎悪の化石」(P.125) 

・「書店から手ぶらで退去できない宿痾のごとき習性」(P.162)
→当然のごとく拙にも備わる習性。

・ウールリッチの享年64(P.175)
→硲は自分が64才で死ぬと小学生ぐらいから思ってるのだが、思っている理由はいまだにわからん。天国の景色と同じような根拠が有るとは考えてるんだが。



次、感想メモ2。




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