サクリファイスがあるからこそ贈り物は喜ばれる。 | 猫の島調査報告書

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月夜にささやかな酒宴 ことのは積み上げ十年目

お久ぶりの読書感想記事である。

まぁ、軽くね。


かなりネタばれモードなので、ご注意を。



「サクリファイス」/アンドレイ・タルコフスキー/河出書房新社。

ヨーロッパの某国を舞台に(いや、原作に書いてないんだもんよ)、

或る男の誕生日の1日を描いた短編小説。

映画にもなっているようです。

つか、ノベライズに近いのかな。映像ありきな感じがする。



物語の序盤、

子供と一緒に、枯れた流木を地面に立てるわけですよ。

家の近くの野っぱらの岩の割れ目にです。


「昔々、坊さんが枯れた木に水をやり続けたら、

 いつしか花が咲いた」

そんな話を男は子供にする訳です。

子供は或る事情により声が出せないため、男はひとりで喋り続けます。


この辺りの描写が終盤、見事に反転するんですね。




やがて、

親子は、男と妻が愛している家へと帰り着く。

家では男の誕生日を祝うために、

ささやかながら、家族、旧知の客、招かれた客が集い、

晩餐を囲むのでありました。


さて、そんな中、或る一報が、彼の家に届けられます。

いえいえ、彼の家ではなく、彼の国、それを含むヨーロッパへと、

届けられるのです。


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美しい(であろう)風景描写と

始終悩んでいるような男の内面描写は、自分にとって大変とっつきやすく、

もし、1週間と1日前に読み終わっていたならば、

軽く読める掌編として、多分まったく違う感想を持ったのではないかと

今日の僕は考える。