曲げられた真相 後半戦 | 猫の島調査報告書

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月夜にささやかな酒宴 ことのは積み上げ十年目

さらに一昨日から引き続き、
「曲げられた真相」/編・日本推理作家協会/講談社文庫。
今日の感想は後半。
●「糸織草紙」/森谷明子。
江戸時代の京都を舞台に、神社の境内に現れた死体の謎を描いた作品。
こう書くとミステリー一直線なのだが、武家の妻女の視点で進められるのと、不思議な美女の思わせぶりな言動が相まって妖しい魅力もあるようだ。
〆は個人的には微妙。好みの問題。
ただし、この作品を含む七姫の短編集は読んでみたいと思う。
●「克美さんがいる」/あせごのまん。
家族が大怪我で今にも死にそうなとき、あなたはどうしますか? な話かと思いきや。
あっさり彼女が亡くなった後、姿を現す嫁姑の確執が!
うおお、恐ろしい(°□°;)
ミステリ的な仕掛けは単純で、殆どのかたが最初の方で解ると思うのだが、解った後がさらに恐ろしい。
●「流れ星のつくり方」/道尾秀介。
初対面の少年に謎なぞみたいに言われた「当ててみて」。
お題は「密室から如何に殺人犯が逃げ出したか」、そんな哀しみがキラリ光る作品。
気心の知れた仲間との団欒や、田舎道で星空を見上げてぼーっとしているゆったり加減、穏やかな少年の声とラジオの音。
それに対する凄絶な事件。
この作品は二度目だが、ラストの余韻を楽しみ、こういうミステリが大好きだ。と改めて思う。
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