- 毒を食らわば (創元推理文庫)/ドロシー・L. セイヤーズ
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<あらすじ>
副題を付けるなら
『ピーター卿、恋に落ちる。』
砒素に拠る中毒死事件の公判の傍聴席で
貴族探偵ピーター卿が恋した相手は、
なんと
被告席に登場した毒殺犯と目される作家
ハリエット・ヴェイン嬢。
「彼女はやっていない」。
信じるための証拠は直感とハリエットの言葉のみ。
恋に浮かれたピーター卿は、
親友・パーカー主席警部の完璧と思える起訴を、
30日後の再公判までに覆せるのか。
そして騎士道精神に溢れた46人のライヴァルを蹴散らして、
ハリエットの視界に入ることが出来るのか。
<感想>
陪審制度の凄まじさも感じさせつつ始まる本作だが、全編通じてクリンプスン嬢を始め、女性陣の活躍がストーリーを支えている。パブ九輪亭のひとが結構好きだな。
ハリエットは、流石に異常な状況下にあって「死体をどうぞ」のような本領発揮とは行かないもののユーモアを解する頭の良い女性像を見せつけてくれる。
あとはベローナクラブでも登場したマージョリー・フェルプスや、驚くべき老婆、各家の料理番、メイド、もちろん先代公妃と枚挙に暇がない。
ミステリーとしても、かなり状況が制限されている中での服毒ということで、正攻法が正しいのか、盲点をつく方法が有るのか、想像が膨らむ作品である。
ラブストーリーとしては、甘さを求めない人向き。
幻想は現実派のハリエットにすべて叩き落とされる(笑)