明日には冥土の砂となる | 猫の島調査報告書

猫の島調査報告書

月夜にささやかな酒宴 ことのは積み上げ十年目

「フィラメント」/漆原友紀/講談社アフタヌーンKC。


「蟲師」で有名になった漆原友紀の短編集。
昔こういった作品をよく読んだなぁ、という懐かしい作風ばかり。
漆原って志摩冬青だったんかい!


過去作品の見せ方が、
この短編集に収録されている最近の2作品や「蟲師」とは多分に異なるのに驚いた。
自殺の名所の岬にある売店の話とか、
海に惹かれる姉弟だとか。
諦念を含む寂しさは同じなのにここまで違うのか。
ひとつには、伝える力が格段に上がっているんだな。

絵柄(初期の人物はこなみ詔子っぽい)の変遷や、
書いてるもの(宮沢賢治や長野まゆみオマージュ、あとは安部公房か?)の様変わりはあるにしろ
小物は変わってないのが、原点と呼ばれる所以か。


また、
「蟲師」とはまったく地続きではない虫師の出てくる作品も。
(柊十郎とギンコ似てないよねぇ)


なんだろう。
漆原友紀ってどんな漫画を描くんだろう、と思っているひとには薦められない。


恥ずかしいほど懐かしさに身悶えたいかた
寂しさに耐えられなくなりそうなかた
「迷宮猫」の題名に惹かれるかたにオススメ。