微熱 | 猫の島調査報告書

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月夜にささやかな酒宴 ことのは積み上げ十年目


夕刻になると発熱する日々が続いておりますこの頃。
涼しくなってきて、インフルも下火にならないままですし気をつけなきゃですね。


今日の1冊は、
非道い・変態・救いがない狂気
と3拍子揃った短編集。


「生贄を抱く夜」/西澤保彦/講談社文庫。

超能力者の関わる犯罪を扱ったネオSF本格ミステリー、チョーモンイン・シリーズの1冊。
美少女調査員の神麻嗣子(袴)、神余響子(作務衣)が登場することでも有名
ヾ(´∀`*)ノ

なのだが、
この本は作者後書きにもあるとおり、シリーズ登場人物外の視点から書かれた作品が多く、
また当事者目線で話が進むために、本格ミステリよりもサイコな雰囲気の作品集となっていた。
スプラッタはなけれども、明るい作風に紛れて、非常に後味のよろしくない傾向だった。



<収録作>
「一本気心中」
部屋には女の死体。夫は飛び降り自殺。
不可能状況ではない事件現場で、一瞬だけ使われた超能力とは何か。


「もつれて消える」
不倫相手の男がホテルで刺殺される。
しかし死亡推定時刻には自分が隣にいた。


「殺し合い」
たかが言葉の上でも、人は相手の優位に立とうとする。そんな社会に嫌気がさした中学生の達郎だったが、幼なじみの少女に再会し……。


「生贄を抱く夜」
起きると目の前に彼女の死体。
部屋には自分1人でドアにはチェーン。
つまりは単純な問題ってこと。


「動く刺青」
超能力を使って覗きをしていたサラリーマンは、ある日上階の部屋を訪ねてきた人物がおかしいことに気が付く。


「共喰い」
とあるレストランで、一斉に3人の人物が死亡。ひとりは毒殺、後のふたりは病死。これは偶然なのか。


「情熱と無駄の間」
レストランに乗りこむ女実業家。冷静には一生ならない彼女の情熱と無駄の物語や如何。