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月夜にささやかな酒宴 ことのは積み上げ十年目

「文楽三代―竹本津大夫聞書」
朝日カルチャーブックス (35) /竹本 津大夫/大阪書籍。


四世・津大夫の芸談を纏めたもの。
めっぽう読みやすい(´∀`*)
読んでる間ずっと頭の中で、面白すぎてヤバいやばい言っていた本。


内容は戦前~戦後の昭和30年代に入るかという年代で、父にあたる三世・津大夫や山城少掾、寛治など彼にとっては親世代の話題が多い。


1984年刊行なんで、この本自体はちょうど大阪の文楽劇場が新しくできたころの編集なんだけど、「分裂中の話はまだ生々しいからしない」と宣言されている。
25年前ってそんな時代だったのか。

戦前、文楽座がまだあるころからの語りなので、
当たり前なんだが現在より色々な劇場で語られていたわけで、
会場による音の響き加減の違いとか、(←当たり前過ぎて他で書かれてないのかも)、新しく知ることが多かった。
あれ、床回転しない時もあるの?


驚いたことに
昔は、楽屋も女性厳禁だったと書いてある。例え家族でも入らなかったらしい。
今は三浦のしをんさんも取材に乗りこむし、裏方さんだって床山職はえらい色気のある姉さんだったりするもんね。
隔世の感か。


最近少しずつ知るほどに、
文楽(人形浄瑠璃)は上手く新しいもののいいとこどりが出来ている"伝統芸能"だと考えるようになった。

めちゃ不安定に見えたんよ、最初。
しかし、今はどちらかというと柔軟な集団芸能だと思う。能や狂言、歌舞伎にくらべると世襲の演者が少ないからかもしれん。


大変失礼な言いぐさだが、今からこの後何十年間か、どうなっていくのか見ていきたいなぁ。
このまま安定してしまうのか、はたまたじわじわ変容していくのか。
おもに古典題材を扱っている劇の内容もさることながら、
人やら舞台のつくりやら全体に興味を惹かれる。