月が猫にからかってゐる晩 | 猫の島調査報告書

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月夜にささやかな酒宴 ことのは積み上げ十年目



「文豪てのひら怪談」/編:東雅夫/ポプラ社文庫。

800文字以内、文庫で見開き1ページという極短編の怪談を集めたアンソロジー。

怪談と云うより綺譚やショートショートと呼びたい趣のものもあり。
お好みの速さで頁を捲り進むが好し。
挿し絵は猫が多め。


先ずは、1編目。
もはや何も言わずとそっと出し。
「収集者の庭」(抄)/久保竣公。


一番読みにくかったのは岩佐なを。
しかし雨、特に日本の雨は怪談にもってこいですな。

一番怖かったのは関戸克己。泣きそうだ。

一番短いのは平山夢明。
なんとびっくり1行。勿論しっかり怪談。

珍しいのは小松左京。いや小松先生が怪談を書くのが珍しいのではなく、とても珍しい幽霊が題材だった。
二重の意味でぞっとする。


「遠野物語」と「奥州のオシラサマ」/佐々木喜善を並べるのってどうよ?
ってこともありながら、一番好みなのは粕谷栄市。

一番気になるのは、北村想のに出てくる赤い襟のセーラー服。
ごめん変なところが気になって。
若い女の土左右衛門は、悉くオフィーリアに変換される我が脳に完敗。


ふっと気分転換にいい1冊でした。