絶叫城殺人事件 | 猫の島調査報告書

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月夜にささやかな酒宴 ことのは積み上げ十年目


「絶叫城殺人事件」/有栖川有栖/新潮文庫。
絶叫城殺人事件 (新潮文庫)/有栖川 有栖
¥620
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再読につぐ再読の本。
敢えて『殺人事件』を題名に冠した短編が6作。
それぞれの作品の個性が強く輝いている大変お得な1冊。


●「黒鳥亭殺人事件」
火村と有栖は、友人・天農に呼ばれて人里離れた家を訪う。黒一色の外壁を持った屋敷は黒鳥亭と呼ばれていた。
見た目に違わず曰わくありげな事件が起きており、死体も発見されたと天農は言う。

序盤のおどろおどろしさが否が応でも雰囲気を盛り上げる。
登場人物は上記3人に天農の娘・真樹、後はカラスぐらいと少ないが、真樹が可愛い(´∀`*)
大人組(火村・天農)の会話をよそに、有栖と話してるところは非常にほのぼの。

しかし問題作。とても問題作です。
大事なことなので2回言いました。
有栖川らしい文体と小道具で、大変らしくない展開。
綺麗なまとまりは4つ星半。お好みで5つ星★


●「壷中庵殺人事件」
富豪が密閉した地下室で、頭を壺にすっぽり覆われた姿で発見される事件。
感想があまり書けません。察して下さいw


●「月宮殿殺人事件」
ホームレスのおっちゃんが自作した「月宮殿」と呼ばれる奇妙な家で焼死。仲間は放火されたと言うのだが、目撃証言は錯綜し……。
雑誌の時のイラストがインパクトあったなぁ。
しみじみと切ない、そして自分にも問いかける起点となる話だった。


●「紅雨荘殺人事件」
映画の舞台ともなった屋敷「紅雨荘」にまつわる事件。
この本の中で一番オーソドックスかつ地味な印象。
というか、短編集収録されるまでにあっちこっちのアンソロジーで読みすぎた;


●「雪華楼殺人事件」
六角形の塔型の廃ビルで、1人の男性の遺体が発見される。
当時、建物には彼と駆け落ちしてきた彼女と、怪しい浮浪者。彼が自殺する素振りはなかったという。
雪の中、残された彼の足跡は何を示していたのか。


●「絶叫城殺人事件」
関西で通り魔事件が連続発生。
クリスティの「ABC殺人事件」のような規則性を持った被害者達。そして口中に残されたメモから、とあるゲームを模しているのではないかと世間が騒ぎ始める。
毒の霧に巻き込まれたかのような捜査を経て、最後に火村が名指しするのは有り得ない人物だった。


全編、読み終わって叫びたくなる。
せつない。