今回はネフェルタリ王妃の墓について書く。


エジプトで最も美しく鮮やかな遺跡であり、最も入場料が高い遺跡(約1万円)でもある。

1日150人限定、滞在可能時間は10分のみという厳しい制限をかけて保存状態を管理している。


ハトホル神によるアンク(生命)の祝福


知恵の神トトに筆箱を捧げる王妃


ここまで色彩が残っている遺跡は他にない。

3,000年以上前のオリジナルの色彩が鮮やかに残っていることに驚くばかりだ。

当時の神話と世界観が死者の書に基づいて生き生きと展開されている。


王妃は山のような供物を捧げ、名だたる神々がこぞって王妃を祝福していく。


アヌビス神


天井には星空が描かれ、壁画を縁取る


エジプトの死生観では王妃でも死後の裁きを免れないようだ。

一般的に亡者は冥界でオシリスの御前に立ち、心臓を天秤に乗せられて己が罪を裁かれる。

王妃も試練に挑み、自分の力で永遠の命を勝ち取らなければならない。


セネトで運命と戦う王妃


彼女は必ずや勝利するだろう。

建築王として名高いラムセス2世の妻として、ヒッタイトとの国書のやりとりを担うなど外交面で活躍した逸話を残す才媛である。


私はこのレリーフが好きだ。

彼女が運命に打ち勝って、神々の祝福を得て素晴らしい来世を獲得することができるなら、エジプトの民もまた彼女に続くように輝かしい未来を手にすることができる、そんな気がする。

彼女は何千、何万というエジプトに生きた人々の魂の安寧を背負って戦っているように思えてならない。

見ている私も運命を切り拓くように勇気付けられる。


本当に素晴らしい場所なので、帰るのがとても名残惜しかった。


帰国後に批評サイトを眺めていたら、10分以上滞在するために管理者に数ドルこっそり握らせたなんて話を見つけて、その手があったか…と膝を打った。


入場料は高額だが、比類なく素晴らしい。

折角エジプトに来て最も美しい遺跡を見ないのは本当に勿体ない。

是非とも訪れて美しさに圧倒されて欲しい。