今回はハトシェプスト葬祭殿について書く。

(何回かに分けて書こうと思う)


葬祭殿は儀式の場であり、王の業績を語り継ぐモニュメントでもある。

(実際の墓は王家の谷に別にある)



3層のテラスと傾斜路から成る斬新なデザインは、他の遺跡や葬祭殿とは一線を画す。


太陽光を溢れるほどに受け止める設計から、偉大な太陽神の力を王が授かって宿願である再生復活を実現するよう祈るセンムトの情熱を想像した。


男尊女卑の時代に王になった彼女は、自分の王としての正当性を男の王たちより強く主張しなければならなかった。



彼女の死後、その姿の多くは削り取られてしまっている。

後の男の王たちが意図的に抹消したらしい。



一方でオシリス神となった彼女の像は残っているので、神や神になった存在は消すことが出来なかったのではないだろうか。


壁画は傷んでいたが、多くを物語る。

彼女の出生に関する一連のストーリーを神話を絡めて壁画で展開し、神々が彼女を王として認めているという正当性を主張し、彼女のプントとの遠征・交易といった業績によってエジプトがいかに反映したかを伝えていた。