学院の先生曰く、ロシアには声優専門という人は少なく俳優さんが声優も兼ねてるのだとか。
いい例がわにのゲーナでシャーロック・ホームズのワシーリーさん。ある時から声優一本に道を絞ったチェブラーシカのクララさんも若い頃に何本か映画出演しているそうです。
で、可愛くなさが絶妙なロシア版くまのプーさんの声は「不思議惑星キン・ザ・ザ」の宇宙人役であるとのこと。
くっ、キン・ザ・ザか貴様!
(「不思議惑星キン・ザ・ザ」、それは私を恐怖と嫌悪のあまり震え上がらせた映画の一本である。笑えない、笑えないよ全然!
鑑賞中も鑑賞後もたまらなくいやーな気分で、他の人にはどうなのか感想が気になりタイトルで検索かけたら、「スピッツの草野マサムネも好きらしいね。」とあって、以来私は「ボーカルがキン・ザ・ザ好きのバンド」という何とも最悪な色眼鏡なしではスピッツを見れなくなった。
ファンが聞いたらトイレに呼び出されるってば。)
キン・ザ・ザはいいんだキン・ザ・ザは。ロシア版くまのプーさん「ヴィーニー・プーフ」です!
(英語名「Winnie-the-Pooh」をキリル文字に置き換えてロシア読みするとこうなる。)
存在は知っていたもののまだ見ていなかった。オススメしてくださった方ありがとうございます! ヴィーニー・プーフいいわーこいつは知らんと人生損するわー。
歌詞が知りたい、というささやかなリクエストだったんですが、しょっぱなの「むかし昔、先週の金曜日のこと」ってすっとぼけたナレーションが個人的につかみばっちりすぎて、科白も全部ヒアリングしてしまいました。お勉強お勉強。
1分20秒からスタートの「ヴィーニー・プーフの歌」、訳そうにもさっぱり意味わかんなかったですし。うまく韻踏めてるから「詩心ある」と自賛しているみたいです。
ヒアリングできなかったとこはさりげなくスルーしたり何なりですが、まあだいたいこんな感じで合ってるかと思いたい。
Винни-Пух/ヴィーニー・プーフ
00:38
「第一話 ヴィーニー・プーフと疑り深いミツバチ」
00:42
「ヴィーニー・プーフの地」
むかし昔、先週の金曜日のこと、あるところにヴィーニー・プーフという名前のこぐまが住んでいた。何故そんな名前なのか? だって彼の家の表札にはそう書かれているのだ。ヴィーニー・プーフ。
ある時ヴィーニー・プーフは何かしら食べたくなって森へと出かけていった。食べ物ならいつだって大歓迎だ。ところで彼は詩人だった。暇な時は詩を書いたり歌まで作ったり。こんなふうに。
01:20
(ヴィーニー・プーフの歌)
困った時でも大丈夫!
頭の中にはのこぎりが
のこぎりどころか
喚きと泣き声も
喚きと泣き声も
その上おまけに
ざわめき 喘ぎ 笛の音
僕って詩心あるかも
うん!
ヴィーニー・プーフが
いるっていいよね
だから歌うよ
大声上げて
何やったって問題じゃない
僕を痩せさせたくなかったら
痩せさせたくないんだったら
もちろんそうだよね
食事の時間だ
うん!
01:52
「背高のっぽの樫の木」
02:06
-なんだかきな臭いぞ。
木がうなるわけがない。誰かがぶんぶん言ってるようだ。
何でぶんぶん言ってるんだ? さてはミツバチか?
そうらしいぞ。
何故この世には蜜蜂がいるのか?
蜂蜜を作るためだ。
そう思う。
何故この世には蜂蜜があるのか?
僕に食べろってことだ。
そうなんだ!
02:43
もしもくまがミツバチだったら
話は早かったのに
さっぱりわからないよ
何でこんな高いところに家があるんだ
02:57
くまはハチミツが大好きなんだ
ほんとのところ何だって
03:11
そこでヴィーニー・プーフは親友のコブタ、ピタチョークの家に向かった。ピタチョークの家の表札には「B建築」と書かれていた。「B建築」とは何のことなのか? それはピタチョーク自身も知らない。
03:26
-おはよう、ヴィーニー・プーフ!
-おはよう、ピタチョーク。ひょっとして風船を持ってない?
-風船? 何で風船?
-ハチミツ!
-えっ?
-ハチミツだよ。
-ハチミツを取るのに風船なんて誰が使うの?
-僕が使う。
ちょうど昨日、ピタチョークはウサギの家にお呼ばれして、きれいな風船をふたつもらっていた。青いのと緑のと。
-どっちがいい?
-大切なのは、ミツバチに気付かれないことなんだ。
-うんうん。
-緑色の風船だったら、葉っぱだと思われるだろう。奴らは気付きっこない。
-うんうん。
-青い風船なら空の色だ。やっぱり何にも気付かない。
-でもどうなんだろ、風船にぶら下がってる君にも気付かないものなのかな?
-見つかるかも知れない。見つからないかも知れない。
じゃあ僕は小さな雨雲のふりをしよう。何とかなるさ。
-だったら青い風船がいいね。
05:02
(ヴィーニー・プーフとピタチョークの歌)
ピタチョークとどこに行くのか 秘密だよ!
話しちゃダメだよ そのことは
-そうだ、傘はある?
-傘?
-考えたんだけど、念のため持っていったほうがいい。
05:33
-持っててくれ!
さあ、これで僕は本物の黒い雨雲そのものだ。
05:55
-風船を膨らませてくれ。
06:20
-やったー!
-すごいだろ? 僕、何に見える?
-風船に掴まって飛んでるくまに見えるよ!
-そうか・・・・・・雨雲にも見える?
-ううん! あんまり!
-まあいいさ、上から見たら雨雲っぽいだろきっと。
ミツバチがどう考えるかなんてわかりゃしないし。
06:47
-ピタチョーク!
-なあに?
-なんだかこいつら疑ってるみたいだぞ!
-何を疑ってるの?
-わからない。でも疑心暗鬼に見える。
-ハチミツが狙われてるのに気付いたんじゃないの?
-ピタチョーク! どうも僕は雨雲だと思われてないみたいだ。
-どうしよう?
-傘を開いて行ったり来たりするんだ! 僕は雨雲の歌を歌う! 君は僕を見上げてこう言ってくれ、「なんだか雨が降るみたい」って!
-なんだか雨が降るみたい。
なんだか雨が降るみたい。
なんだか雨が降るみたい。
(ヴィーニー・プーフの歌)
僕は雨雲 ケモノじゃないよ
水気でいっぱい いい感じ・・・・・・
-あっ、ピタチョーク!
-なんだか雨が・・・・・・どうかした?
-わかった、わかったぞ! こいつらはいいミツバチじゃないんだ! ぜんぜんよくない! ハチミツだっておいしくないよ、きっと。だから僕はもう降りる!
-なんだか雨が・・・・・・どうやって?
-それはまだ考えてない。
-なんだか雨が降るみたい。
-ピタチョーク!
-なあに?
-家に銃があるかい?
-あるよ!
-急いで取ってきてくれ!
08:09
(ヴィーニー・プーフの歌)
空はまったくいつものどおり 気持ちがいいな
それというのも陽気な雨雲が歌っているから・・・・・・
-ピタチョーク!
-ここにいるよ!
-撃て!
どこ撃ってんの!?
-ミツバチだよもちろん!
-ミツバチじゃない! 風船を狙わなきゃ!
-えっ、撃ったりしたら風船がダメになっちゃうよ。
-急いでくれなきゃ僕がダメになるよ!
-外れた?
-外れてはないんだけど、風船には当たらなかったかな。
-ごめんね、許してね。
09:11
-ヴィーニー! ヴィーニー? ヴィーニー!
-プーフ!
多分きっと、いや間違いなくこのために、たとえ口が利けない時であろうとも、彼はヴィーニー・プーフと呼ばれているのだ。
09:32
-食事の時間じゃないかい? そう思うよ!
09:45
お話は終わり。このお話は終わるけれども、お話はまだあるのです。プーフとウサギ、ピタチョークと年取った灰色の小ロバ、その他もろもろについて。
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原作読み返して比較してみよっと。ロシア版ほんっと面白かった! いや素晴らしい。
音楽もヴィーニー・プーフとピタチョークの掛け合いもナレーションも何もかもが快いので、音声まるっと落としてずーっと聴き続けてます。時々噴き出してます。
「風船に掴まって飛んでるくまに見えるよー!」ってピタチョーク、お前という奴は。
ピタチョークが延々繰り返す「なんだか雨が降るみたい。(Кажется, дождь собирается.)」をメール着信音にしたいなあ。
さて、次は何をヒアリングしようか。ロシア版ムーミンかしら。