
やはりジョギング程度とはいえ、走ることが楽しみになると今まで見向きもしなかった走ることを書いた本を読みたくなります。といっても今まで読んだのは「風が強く吹いている」だけなんですけどね。だって、ランニングをテーマにした小説なんてそんなにないよね。
んで、最近になって堂場瞬一の『チーム』という小説も風強と違った視点で駅伝を描いててなかなか面白いというのを知り、会社帰りにブックオフ(おいおい)でくだんの小説を探す私です。
ベストセラーじゃないから、そうそう出会えないですね。んで、棚を眺めてたら見つけたのがこの本。何でも作者は「県庁の星」で大儲けしたらしい(失礼な)、タイトルバックのアシックスシューズも格好良いのでお買い上げ。250円。
んで読み終えましたが‥うーん、風強とは全く違う仕上がりの物語でした。
あらすじをサラッと紹介しちゃいます。
主人公は親子鷹でオリンピックを目指す天才ランナー。そして彼は進学すると学校の名を上げるには自分を前面にプロモートすることが一番だとセールスして陸上部内に専任スタッフを擁した自分個人の「チーム」を作るのだ。亀田兄弟も裸足で逃げ出すこの傲慢さ。この設定からしてぶっ飛んでる。
ところが、実の兄が自殺したのをきっかけに彼は自分の体の秘密を知る。そう、実は彼は「改造人間」だったのだ‥いきなり「仮面ライダー」の世界へワープしてしまうのか、凄すぎ。
「改造人間ということがわかればオリンピックに出られない」。しかし箱根駅伝に出なければ広告塔の役目を果たせなくなるので大学側は「出ないならチームは解散だ」と彼を脅迫する。
一計を案じた彼は「駅伝は和で走るもの、自分が出ると輪が乱れる」のを理由に何とか急場をしのごうとするが。
更に強力なサブキャラとして、
女占い師「にせん えん子」。
箱根駅伝本番まで全く姿を現さない謎の監督。
蕎麦打ちが得意なコーチに、喘息もちの「バイト君」ランナーなどが登場。
果たして彼は走るのか?彼を揺さぶる「血の秘密」とは何か?
謎の女占い師はどーする。そして謎の監督の正体とは!!!?
数々の謎をはらんだまま舞台はクライマックスの箱根へと続くのだ。
‥
はい、このあらすじを信じて本を読んだら大変なことになります(笑)。
だだですね、風強の青春とか感動を求めて読むと、これも大変なことになります。
しかし読み終えて一番「やられた」と思ったのは
本の帯に書かれたコピー「誰がなんと言おうと走り抜け」が
誰に向かって言ってるのか解った時です。
少なくても作者は絶対にこの帯は書かないでしょう。
確かに読み終えればこのコピーは間違っていないのです。
でもねぇ、本屋でこの本を手にしたほとんどの人は
この言葉が誰に向かって書かれたものか勘違いしてしまうのだ。